検察でまた不祥事 「検事総長」就任祝宴でのセクハラ事件を“隠蔽”

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怒りをぶちまける森大臣

「林検事総長の船出に大きな傷がつきかねない、ということで検察庁内には厳しい緘口令が敷かれている」

 と、検察関係者(前出)。

「森法務大臣(当時・以下同)にも報告を上げていないのでは、という人もいる。大臣が知れば検事総長の責任問題だと騒ぐ可能性があるから隠しているのではないか、と」

 黒川氏の賭け麻雀問題を受け、森大臣は「法務・検察行政刷新会議」を設置。去る9月10日に4回目の会議が行われたばかりだ。

「検察官の倫理を問う会議がまさに進行している最中に検察事務官のセクハラが公になれば検察組織は相当なダメージを受けることになる。それもあり、森大臣に報告を上げていないのかもしれません」(同)

 一連の経緯について林氏は何と言うか。自宅に帰ってきたところで武内氏のセクハラについて質したが、

「その件は話さない。僕はこういうところでは受けないから。帰って下さい」

 と、歩き去ってしまった。

 自民党総裁選が行われた日、森大臣に今回の件について報告を受けていたかどうか聞くと、

「報告はないです。全くないです。事実ならひどいですね。すぐ隠すんですよ。黒川さんの(賭け麻雀問題の)時も、私のところに報告が来たのはいよいよ記事が出るって時。もういつものことです、この隠蔽体質は。常にそう。大臣には情報を上げない。マスコミを操作する。それの繰り返しですよ。ほんっとうに頭にきますね」

 怒り心頭の森大臣。

「黒川問題を受けて、私が今まさに刷新会議をやっているところで、なんで隠すんです! 本当に、全然懲りてない。早急に事実確認をします」

 取材の途中からは、本誌(「週刊新潮」)記者に「逆取材」を始めた。

「セクハラってどんなだったの?」

――言葉にするのも憚られるようなセクハラ発言と、腰に触るなどの……。

「えっ!? えっ!?」

――林氏の就任を祝う席で。

「えっ!? 祝う席なの!? 総長もいたの!?」

――いたという話も……。

「もー財務次官のセクハラ問題であれだけ大騒ぎになったのに……」

 本誌の取材後、法務省に確認し、報告を受けたという森大臣に改めて聞いた。

「人事権を持つ大臣に降格から2カ月近くも報告がないのは、私はおかしいと思います。黒川さんのことがあれだけ大問題になって、刷新会議でもこれだけ大ごととして取り組んでいるのに、最後までこの隠蔽体質は変わりませんでした。もう、もう、本当にがっかりです」

 法務省のHPでは、森大臣が設置した「刷新会議」で扱われた「検察官の懲戒処分等の概要」という資料が公開されている。

「それを見ると、13年以降、セクハラが13件あったことが分かります。検察官だけでこの数ですから、検察事務官も含めればもっと多いはずです」(全国紙デスク)

 元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士が言う。

「セクハラをしたとされる今回の事務官は、検察の男性社会的体質にどっぷりと浸かってきたため、旧態依然とした考え方をひきずり、“これくらいなら大丈夫”と思っていたのかもしれません。どちらにせよ林さんからすれば、自分の就任祝いの席で秘書官がセクハラをしたというのは、許せないことでしょう」

 今回の件により、自身の“人を見る目”が曇っていることが満天下に晒されてしまったのだから、林氏の怒りが収まるはずもない。

週刊新潮 2020年9月24日号掲載

特集「賭け麻雀『黒川問題』後に醜聞! 法務省が『森まさこ大臣』にもひた隠し 『検事総長』就任祝宴で『セクハラ事件』」より

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