「年利876%」、目の前に積み上げた「現ナマ」の力 350億円を巻き上げたカラクリ

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希代の詐欺師と裁判所のお墨付きを得た「KKC(経済革命倶楽部)」

「希代の詐欺師と言うのも過言ではない」――。詐欺罪で起訴された際の一審判決において、裁判長からそう断じられたのが、KKCの山本一郎会長(75)である。そんな国の“お墨付き”を得たにもかかわらず、この人、出所後も懲りずに同じようなマネーゲームに興じている。その最新のターゲットは……。(※「週刊新潮」2015年8月6日号掲載記事を再編集したものです)

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 浅草の繁華街・六区からほど近い商店街。

 飲食店が軒を並べる一画にその事務所はある。

 3階建てのビルで目を引くのは、玄関の横に無造作に置かれた、ガラスケース入りのオオカミの剥製。

 通りを行き交う人の多くは、それに目を留め、訝しげに眺めては通り過ぎていくのだ。

 近所の住民によれば、

「ここに新しい事務所が入ったのは5月くらい。毎日、年配の女性がかなりの人数、入っていきますよ。それも中国人が多い。事務所の前で中国語を話しているからすぐわかります。しかし、一体、中で何をしているのか、みんな気味悪がっています……」

 この周囲を怯えさせる、怪しい館こそが、最新の山本氏の拠点なのである。

 彼が率いたKKC(経済革命倶楽部)の設立は、1995年のこと。

「未常識経済理論」を提唱した彼がぶち上げた投資の方法は、まさに「常識外」で理解不能のものだった。

 数あるコースのひとつ、「ゴールドコース」をかいつまんで説明すれば、会員は100万円を出資し、新規会員を紹介すれば、20日後に48万円が得られる。

 その20日後にまた48万円、その20日後にまた…と金を得ること5回。100日で元本の戻しと合わせて340万円を手にすることが出来るという触れこみなのだ。

卓上には、数億円の現金の束がこれ見よがしに積み上げてある

 年利にすれば876%。ありえない儲け話だが、当時、KKCは、中国での高層ビル事業や、韓国でのテレビ事業などでの運用で十分まかなえると説明。

 するとどうして、当時、これに乗せられてしまって出資をしたのは全国で1万2000人。

 巻き上げられた額は約350億円。

 昨年の全国の振り込め詐欺の被害総額=380億円と比べてみれば、その大きさが実感できるというものである。

「あれだけの人が騙されたのは“現ナマ”の力だと思います」

 と言うのは、かつてのKKCの幹部会員である。

「当時のKKCは赤坂に本部ビルがありました。ゴールドコースの場合、20日に一度、48万円の支払いがありますが、彼らは、絶対に銀行振り込みにしない。わざわざ会員を赤坂に呼び、一人一人に現金を手渡ししていたのです」

 それゆえ、その日が来ると、KKCビルの7階の経理部は大変な騒ぎ。

 卓上には、数億円の現金の束がこれ見よがしに積み上げてある。その前に会員が殺到する。

「そんな中、幹部が山の中から札束を取り出し、会員に手渡していました。そうした会員の中には、入るべきか、入らざるべきか、躊躇している人を連れてきているケースもある。悩んでいる人たちも、その現金の山と、気前よくポンポン現金を振る舞う姿を見ていると、すぐに信用してしまい、自ら出資するようになってしまうものです。あれだけの会員を集められたのはまさに生の札束の持つ“魔力”でした」(同)

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