藤浪晋太郎の復活は絶望的 元阪神監督の岡田彰布氏に緊急インタビュー

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復活を阻むもの

 原因を藤浪個人に求める論調は少なくない。メンタル説、練習不足説、フォーム説など、さまざまな専門家が多岐にわたる指摘を行っている。だが、岡田氏は違う考えのようだ。

「一つだけ言えることは、藤浪くんの不調を、彼個人に求めるのは酷だということです。藤浪くんがこの4年間、勝てなくなった原因を探るためには、もちろん監督やピッチングコーチがどんな指導をしたか明らかにする必要がありますし、場合によっては球団の対応も調査すべきなのかもしれません」

 たとえ原因が明らかになったとしても、実際に藤浪の復活・再生を実現させるのは、かなりの困難が待ち受けているという。

「今のプロ野球で藤浪くんに最高の指導を行えるピッチングコーチを集めたとしても、4年間、ずっと不調だった投手を復活させるのは並大抵のことではありません。もし藤浪くんの復肩に成功したなら、そのコーチに1億円でも2億円でも払う価値があると思います。それくらい、大変な仕事ですよ」

いいピッチャーの条件

 いいピッチャーとはどんなピッチャーなのか、岡田氏は「勝てるピッチャーです」と断言する。

「いい球を持っているピッチャーが、いいピッチャーではないのです。毎試合登板するたびに7点取られても、味方が必ず8点取ってくれて10勝以上できたとしたら、いいピッチャーです」

 阪神が日本一に輝いた1985年、投手陣の個人成績を見ると、岡田氏の指摘が実感を伴って理解できる。

 チーム最多の13勝をあげたリッチ・ゲイル氏(66)の防御率は4・3。チーム2位で12勝の中田良弘氏(61)も4・23。当時の阪神は岡田氏、掛布雅之氏(65)、そしてランディ・バース氏(66)で打ち勝つチームだったことがよく分かる。

「藤浪くんが傑出したピッチャーであることは言うまでもありません。そうでなければ、プロ入りしてからの3年間、2桁勝利をキープしたりできるわけがないでしょう。今の藤浪くんの問題は何よりも勝てないことであって、精神面や技術面だけに原因を求められるものではありません。だからこそ、彼の復活は困難なのです」

週刊新潮WEB取材班

2020年9月12日掲載

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