女子ハードル優勝の「寺田明日香」仰天のキャリア 引退、ラグビー転向、そして復帰

スポーツ

  • ブックマーク

Advertisement

 8月23日、新国立競技場での初めての本格的な陸上大会「セイコーゴールデングランプリ陸上」が開催され、女子100メートルハードルは寺田明日香(30)が制した。

 実は彼女、なかなかユニークなキャリアの持ち主なのである。

 陸上選手だった両親を持つ寺田は、小学校の全国大会100メートルで2年連続2位。インターハイで100メートルハードルを3連覇した。2008年から日本選手権を3連覇、09年に世界選手権出場、同年のアジア選手権では銀メダルを獲得した。しかし、五輪出場は果たせず、13年6月に引退した。

 ユニークなのはここから。

「この年の9月、20年の五輪開催地が東京に決まったのです」

 と語るのは、寺田の夫でマネージャーの佐藤峻一氏。

「“だったら子供に見せたいね”という話になりまして。すぐに子作りすれば20年には6歳。ギリギリ記憶に残るかな、というわけで……」

 翌14年3月に結婚。8月に女の子、果緒(かお)ちゃんが生まれた。

 寺田のバイタリティは止まることを知らず、同年4月に早稲田大人間科学部に入学。16年には7人制ラグビーを始め、日本代表練習生に。佐藤氏曰く、

「ラグビーをやっていて、自分の脚が前より速くなっていると実感したそうです」

 それで19年に陸上に復帰。9月に、“13秒の壁”と言われて19年間破られなかった日本記録13秒00を超える12秒97をマークした。

「30歳を超えて五輪で戦うなんて、と思われがちですが、そんな選手は世界にはざらに存在しますから」

 とは寺田ご本人の弁。

「30年使ってきた身体も、まだ完全には使いこなせていません。身体は老いるもの、それを私にしかない身体と技術でカバーしていこうと思っています」

 五輪が延期されたことも前向きにとらえる。

「果緒は来年7歳で小学生になるので、より鮮明に記憶が残ります。家族でもう1年陸上競技を楽しめる時間が増えたなと」(同)

 コロナ禍でもトレーニングは怠らない。

「リビングで、体重17キロの果緒をおぶってスクワットしています」(佐藤氏)

 最後に寺田からひとこと。

「新型コロナも跳び越えて、東京五輪でファイナリストになってみせます!」

週刊新潮 2020年9月3日号掲載

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。