猛暑で電力不足の心配は? 東京電力に聞いてみた

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 今年も残暑が厳しい。8月は気温35度を超える猛暑日が東京では過去最多の11日間。熱中症による死者も22日までに170人にのぼり、過去最多を数えた。

 連日テレビで「エアコンをつけましょう」「寝る時も切らずに」と喧(かまびす)しいが、電力は足りているのか。

「大前提として電力消費量は減っています。原発事故以来、節電の意識が定着し、照明のLED化や家電製品の省電力化が大幅に進んでいることも大きいです」

 と説明するのは東京電力。確かに東電管内の夏の最大電力(最も電力が使われた時間帯の使用電力)は2001年が6430万キロワットだったのに対し、11年以降は2割ほど減少、5千万キロワットから5600万キロワット程度にとどまっている。

 また、コロナ禍でホテルや映画館など娯楽施設での電力使用が減っていることも見逃せない。巣ごもりのため家庭での電力消費は増えていようが、業務用と家庭用あわせると、4~6月で前年比4%減だという。

 さりとてこの酷暑。最大電力は8月21日(14~15時)に5604万キロワットとなり、近年の推移の中では極めて高い数値に達した。

「ただ、電気の総供給力に対する使用量、すなわち使用率は、安定的な状態といえる93%未満でほぼ推移しています。使用率のピークは21日夕方に94%となり、93%以上の“やや厳しい”レベルになりました。ちなみに危険ラインは97%に設定しています」(同)

 では、97%を超えるとどうなるのか。

「OCCTO(オクト)(電力広域的運営推進機関)の出番です」

 とは東電の解説。あまり耳慣れない名称だが、

「OCCTOは電力の広域的安定供給を目的に5年前に設立されました。電力需給が逼迫した場合、かつては電力各社同士が“相対”で取引して融通し合っていましたが、現在はOCCTOが無理のない範囲で各社間の調整を行い、電力不足を回避する仕組みが確保されているんです」(同)

 だから東電は、

「今年の夏もまだ暑い日が続きますが、安定的に電気をお届けできる見込み」

 と請け合う。危険ラインまで3%ということは、供給力6千万キロワットとしても残り180万キロワット。これなら600ワットのエアコンを300万台稼働できる。そう思えば、安んじて熱帯夜に冷房をONにできようか。

週刊新潮 2020年9月3日号掲載

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