韓国の知識人を“抹殺”する「親日あぶり出し・魔女狩り法」と「国民の情緒」優先社会

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米の「輸出」を「収奪」と教える教科書

 ところが、問題は、この法は実体も基準もないということだ。この正体不明の法は、いかなる合意や議決によって作られたものでもなく、具体的行為が示されているわけでもない。

 しかし、その刑罰はあまりにも苛酷で、口にすることすらできないほどの悪口で、人格殺人を行ったり、社会的活動に制約を加えたり、さらには司法府の法の適用にまで影響を与えたりもする。そして、この法は、政治家や特定の政治勢力の利益のために悪用される場合が多く、法の適用に関しては、非常に恣意的であるという特徴を見せる。

 日本の植民統治について、これを肯定的に記述し、ひいては日本の近代化政策によって朝鮮の近代化が行われたという「植民地近代化論」。例えば、これを唱える学者は、国民情緒法と民族感情法の両方に抵触し、厳しい試練を経験することになる。代表的な人物が、日本でも大きな反響を呼んでいる『反日種族主義』の著者、李栄薫(イ・ヨンフン)元ソウル大学の教授と、落星垈(ナクソンデ)経済研究所を中心とする研究者ら、それから『帝国の慰安婦』の著者である、朴裕河(パク・ユハ)教授だ。

 経済史学者の李栄薫氏は、『解放前後史の再認識』『大韓民国物語』などの一連の著書を通じて、韓国社会で通念として定着した植民地収奪論とは真っ向から反対の、植民地近代化論を唱えてきた。李氏の主張の要旨は、次の通りだ。朝鮮時代末期の農民、特に小作農が貧しさから抜け出せなかったのは、結局、農業生産性が低く、小作農に不利な地主制が強固に存続していたためである。韓国の歴史教科書に叙述されているような、日本が米を収奪したためではないという。

 米を「収奪」したのではなく輸出をしたのにもかかわらず、教科書が「収奪」や「搬出」といった表現を使い、生徒たちに間違った事実を注入している実態がある。これは「収奪」を「輸出」と表現すれば、日帝に対する批判の論理が消えたり弱くなったりするから、それを恐れた確信犯のしわざだと。

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