コロナ治療薬開発でバイオベンチャーの株価が高騰 “共同発起人”のオバマ前大統領サイドは怒り心頭のワケ

国内 社会

  • ブックマーク

Advertisement

「証拠を提示する」

 会見で流された“虚偽字幕”については「初耳です」と驚いた。

「しかし字幕は最初から付いており、我々が作成したものではありません。動画冒頭にオバマ財団のロゴが出ていますので、オバマ財団が作成した動画だと理解しております。ご指摘に驚きましたし、我々のチェックが甘かったのかなとも思いますが、大前提としてオバマ前大統領が共同発起人であることは事実です。誤訳とか虚偽字幕という指摘は事実に反していると考えます」

 電話取材を実施したのは8月20日だったが、広報担当者は「3日待ってくだされば、オバマ財団から『共同発起人を受諾したのは事実』などと説明するレターを証拠として提示できます」と言う。

「あまりに悪質な記事の場合、私どもが対処しなくとも、株主が金融商品取引法における『風説の流布』と判断し、法的措置を検討する可能性があるとは申し上げます。また3日間を待たずに記事をネット上に掲載した場合、我々は経緯を説明する広報資料に『デイリー新潮側に3日間待ってくれと依頼したが、聞き入れてもらえなかった』などと記述する可能性もあります」

 受け答えを文字に書くと威圧的な印象を与えるかもしれないため、実際は非常に丁寧な口調だったことは附記しておくべきだろう。

メールで“証拠”を送付

 そして3日間が過ぎた。8月23日の日曜、午後9時46分にメールが届き、PDFファイルが添付されていた。

 だが、それは当初に説明されたようなオバマ財団の文書ではなく、米国のコンサルタントらしき法人名が記載されているものだった。

 文面はオバマ財団との関係に触れてはいるものの、オバマ前大統領が“共同発起人を受諾”したなどという記述はまったく見当たらない。念のため、日本語訳もご紹介しておく。

《IACT4Cとオバマ財団について、私どもの調査やこれまでの情報に基づくと、この書
簡の執筆時点で、IACT4Cまたはセネジェニック研究所とオバマ財団との間に、知られ
ている(意見の)対立や懸案事項はございません。

2020年4月下旬、国際コロナウイルス感染症細胞治療協会(IACT4C)の発足に際し、
オバマ財団は国際交流担当責任者ベルナデッタ・ミーハンを通じ、また鳩山元総理も
IACT4Cにメッセージを送っています。

もし第三者やマスコミからの取材依頼が我々の元に届いた場合、セネジェニック・
ジャパン社が受け取り、対応される方がいいでしょう。

最後に、私どもは今後もオバマ財団との将来の可能性があると信じています。ご不明
な点がございましたら、お問い合わせください》

 これが“共同発起人の動かぬ証拠”というわけだが、どう受け止めるべきか……。どうもこの騒動、まだ単なる序章であり、これから第二幕、第三幕が始まってもおかしくなさそうだ。

週刊新潮WEB取材班

2020年8月26日掲載

前へ 1 2 3 4 5 次へ

[5/5ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。