コロナ治療薬開発でバイオベンチャーの株価が高騰 “共同発起人”のオバマ前大統領サイドは怒り心頭のワケ

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メガネ女性の謎

 19年には後継社長も取締役となり、3代目社長として外部から招聘されたのが、鳩山元首相が会見で言及した平智之氏(61)だった。

 平社長は京都大学やUCLAの大学院などを卒業し、80年代から主に関西を中心にタレント活動を開始する。特に90年代の深夜番組「モーレツ!科学教室」(関西テレビ)で知名度を高めた。

 そして09年8月、衆議院選挙に旧民主党公認で立候補、京都1区で当選を果たした。

 鳩山政権が誕生した際も旧民主党の国会議員として立ち会ったが、12年に離党。減税日本の所属議員と新会派「減税日本・平安」を結成した後、みんなの党に加わった。だが同年の衆院選で落選し、19年にテラ株式会社の代表取締役社長に就任した。

 話を会見に戻す。鳩山氏のリモートスピーチが終わると、司会が「同じく共同発起人のお1人でございますアメリカ合衆国第44代大統領、バラク・オバマ氏からメッセージが届いております。モニターをご覧ください」と呼びかける。

 すると画面にはメガネをかけた白人女性が現れ、オバマ元大統領に代わり、オバマ財団国際交流担当責任者を務めるベルナデッタ・ミーハン氏からのメッセージを読みあげると説明を行った。

 このビデオで、ベルナデッタ・ミーハン氏の顔写真が映し出された。ならばメッセージを読みあげる、メガネの女性はどんな立場の人間なのかと疑問に感じざるを得ないが、その説明は一切行われない。

連続ストップ高

 ビデオでメッセージは英語で読みあげられた。そのため動画の下に日本語字幕がつけられた。その中で最も重要だと思われるのは以下の部分だろう。

《オバマ氏は鳩山元首相と共同発起人として当会に参加し、日本および世界各地における御会会員の皆様が幹細胞治療における新たな進展を通じて、新型コロナウイルスに最新の科学を以て対処するという重要な試みに成功されますことを心より願っております》(註:複数の字幕を1つにまとめ、句読点を補った。その他は原文ママとした)。

 この記者会見に強く反応したのは、製薬・医療業界より証券業界だった。テラ社がJASDAQに上場しているからだ。

 日本証券新聞は4月30日、《テラ(2191・JQ)=連続ストップ高》と報じ、《27日発表のセネジェニックス・ジャパンとの業務提携を引き続き好感。新型コロナウイルスに対する間葉系幹細胞を用いた治療法の開し(註:原文ママ)共同研究契約を締結》と解説した(註:全角数字を半角に改めるなど、デイリー新潮の表記法に合わせた。以下同)。

 株式新聞も5月29日、「個別銘柄のひと口情報」という記事で、テラの株取引を《後場ストップ高。28日昼、セネジェニックス研究所と共同で国内初となる新型コロナウイルス感染症に対する幹細胞治療の臨床試験を開始すると発表した》と報じた。

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