夏の甲子園 「稲村亜美」が今も忘れない名勝負 2012年「桐光学園VS今治西」

スポーツ 野球 2020年8月22日掲載

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“松井世代”

――ちなみに今治西戦を観る前に、すでに松井投手のことは認識していたんですか?

稲村:いや、まったくしていないです。で、うわ~~凄い人、現れたなって。これはこの翌年のドラフトで、確実に1位で消えるなって思いましたね。これで高3になったらまたどれだけ凄い投手になってるんだろうって。

――結果的に松井投手の桐光学園は準々決勝で、この大会の準優勝校となる光星学院(現・八戸学院光星=青森)に0-3で敗退します。それでも三振15も奪ってます。

稲村:う~ん負けても凄い。それは意地ですね。

――最終的にこの大会で松井投手は魔球といわれたスライダーを武器にわずか4試合で68奪三振をマークしました。これは1大会での記録としては歴代3位、左腕だと歴代1位になるんです。

稲村:負けてはしまいましたが、わずか4試合でこれだけの記録を作ったんですからね、完全に脱帽です。それにまだ高校2年生であそこまでのピッチングを見せてくれたので、そのときはまた来年があると。もう1年後にはどうなってるんだろうっていうワクワク感しかなかったです。

 とにかく今年はいいもの観れて良かったなっていう、私の中での収穫だったんですよ、松井投手は。だから、まさかそのあと春も夏も3年のときは甲子園には出場できないなんて、夢にも思っていませんでした。

――松井投手と同学年の選手って、ほかには森友哉(埼玉西武)捕手や田口麗斗(読売)投手など、プロ野球でも実力派が揃っているんですが、不思議と“○○世代”とは呼ばれないんですよね。もしかしたら松井投手が3年の夏に甲子園に出場していて、大活躍していたら、“松井世代”という呼び方が生まれていたかもしれません。

稲村:最後の夏の甲子園で活躍するというのは一つのステータスですよね。プロ入りするときにはさらに注目されますし。やっぱり、その差なんですかね? そう考えると高3の春も夏も出てほしかったですけどね。

――お伺いしていると、やっぱり同級生に対する熱い思いが感じられます。

稲村:1歳上に大谷翔平(ロサンゼルス・エンゼルス)選手や鈴木誠也(広島東洋)選手とかがいますからね。そこでちょっとした劣等感を感じるというか。あの~~ニュースでよく取り上げられるのは1つ上の世代の選手ばかりなんですよ。私の同級生もみなさんすごく活躍している選手は多いのに、なかなかピックアップされないんですよね。

 そういうこともあって、やっぱり自然とプロ野球でも同じ年の選手ってすごい応援しちゃうんですよね。特に森友哉選手は打てるキャッチャーなので、もっともっと打ってほしいですね、今シーズンも。

――ちなみに松井投手とはお会いしたことは?

稲村:あります。初めてお会いしたのは多分、二十歳のときの春キャンプですね。オリックスとの試合で始球式したときです。

 そのあとも去年ぐらいですかね。仙台でやらせてもらっているスポーツ番組のゲストとして来てもらいました。

――素顔の松井投手ってどんな方なんですか?

稲村:なんだろう、普通に話しやすいというか(笑)。特に甲子園観てましたとかっていう会話もなく。もう何年来の友達っていうくらいの感覚で話せるんですよ。

――それは野球談義?

稲村:いや、世間話です(笑)。何か5年くらい友達だったんじゃないかっていう錯覚になるほど、人なじみがいいというか。雰囲気がすごくなじみみやすいんですよね。だから「アレ? 野球選手だったっけ?」っていうぐらいの雰囲気でホント、同じ年の同級生みたいな感じです。同じ学校だった同級生ぐらいの雰囲気を出してくれるので、すごく話しやすいなって感じましたね。

 だからそのマウンドとのギャップが激しいんですよ。ああやって気持ちを前に出す投手じゃないですか。なんですけど、そうやって番組とか日常で話しているときは、愛想のいい、人から好かれるなっていうオーラが出ているので、すごく素敵だなって思いました。

――その松井投手が結婚したっていう話を聞いたときは正直どう思われました?

稲村:女優さん!? ってなりました(笑)。えっでも凄い、うわ! 凄いっていう気持ちです。私たち的には同じ年の星なので。だから嬉しいなっていう気持ちが強いですね(注:妻は女優の石橋杏奈)。

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