夏の甲子園 「稲村亜美」が今も忘れない名勝負 2012年「桐光学園VS今治西」

スポーツ 野球 2020年8月22日掲載

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 新型コロナ渦の影響で、今年の甲子園大会は春も夏も中止となった。その代わりとして甲子園球場では8月17日まで“2020年甲子園高校野球交流試合”が開催され、埼玉県と神奈川県では現在も独自の大会が行われている。しかしこれはあくまで“代替試合”であって、夏の甲子園大会ではないのだ。

 というワケで、夏の甲子園がなくなり寂しい思いをしている高校野球ファンのために、高校野球通の著名人に過去の夏の甲子園大会の試合からご自身が忘れられない名勝負1試合を選んでもらい、語り尽くしてもらうことに。題して『夏の高校野球 甲子園球場で私が感動したベストゲーム』。

 今回登場してくれたのはCMで披露した“神スイング”で彗星のように現れ、プロ野球の始球式でも“ガチな投球”でお馴染みのタレント・稲村亜美さん。スポーツキャスターとしても活躍する彼女が選んだ1試合とは?

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――まずは稲村さんと野球の関係について伺わせてください。そもそも野球にハマったきっかけは2人のお兄さんの影響と聞いています。

稲村亜美(以下、稲村):はい、そうなんです。もともと兄2人が野球をやっていて、私も小1のときに、兄の野球を見学しているついでというか。自然な流れで野球を始めることになって、それで結局、小中9年間やってました。ポジションはピッチャーです。

――高校野球とプロ野球、先に見始めたのは?

稲村:私が中学生のころに兄が高校野球をやっていたので、その辺りから高校野球はよく見ていましたし、プロ野球もちょくちょくっていう感じですね。

 家族内でひいきの球団がなかったので、野球がやっていたら観る、ぐらいの家庭でした。でも、観るのより、やるほうが好きでしたね、その当時は。

――稲村さんが思う高校野球の魅力って何でしょう?

稲村:もう1試合1試合に一生懸命というか、すべてを出し切る気持ちで挑んでくるじゃないですか。長いベナントレースを戦い抜かないといけないプロ野球との違いがそこにありますよね。

 ひたむきに頑張る姿を観るだけで、私自身も青春時代に戻った感じがするんですよね。なので、観ると心が洗われて、すごくスッキリするんですよね。あとは甲子園を観ると、あっ、夏が来たなって思います。

――春の選抜と夏の選手権ではまた違いますか?

稲村:違いますね。春は終わってもまた夏がありますよね。春も全力できていると思うんですけど、夏のほうがはかないといいますか。より気持ちが乗っているので、私は夏のほうが観る側としても気合いが入りますね。

 それに夏は1試合1試合観終わるたびに泣いちゃうんですよ。甲子園に対しては感情移入しやすいんです。なので夏は基本、目がいつも腫れてます(笑)。

 あとはもう若いコ頑張ってるなっていう目線になってきちゃいました。前までは「あっ、同世代が頑張ってる。なら、私も頑張んなきゃ」って思ったりしたんですが、最近だと、「ああ、もう若いコ頑張ってるな」っていう。

――今年24歳の稲村さんですが……それはお姉さん目線ですね。

稲村:いや、母親目線くらいになってますね(笑)。そのくらい飛び越えてしまうような気持ちです。もう、あんなに努力してきたのに……って思っちゃいますね。

 いやむしろ、努力を見せてはいないんですけど、その1プレイで、「私の何倍も何百倍も努力してきたんだろうな」っていうのも感じられるというか。いちおう野球をやっていた身としては、そういう辛さも交えながら試合を観て、こっちも辛くなってます(笑)。

――もし将来、息子さんが生まれて高校野球やりたいって言ったら、見ていられないですね。

稲村:いや、耐えられないです。私の兄は2人とも高校球児だったのですが、長男のほうがピッチャーだったので、毋はもう試合観てられなかったって言ってました。ずっとマウンドで投げてますからね。どの試合も、もう本当に辛かったと言っているので、もし息子が生まれたら高校球児にはできないですよ(笑)。

――お兄さんの試合をご覧になったこともあると思いますが、やっぱりお母さん同様に耐えられなかったとか。

稲村:下の兄のときはよく観に行ってました。でも、応援はするんですけど、それ以上に「本当にエラーしないでくれ」って。まぁもう気が気じゃないというか。どうにか足だけは引っ張らないでくれっていう気持ちでした(笑)。

――やっぱり不安のほうが大きかったんですね。

稲村:そこまで野球がうまいイメージがなかったので、兄に(笑)。だから頑張れ~~というよりも、チームに迷惑をかけるなって。そこはやっぱり身内なので。

 兄はレフトを守っていたんですけど、打球が飛んだときは「捕って! 捕って! 捕って!!」って。もう不安のほうが大きかったですね。応援したい気持ちもありましたけど。

――やっぱり身内だと違いますか?

稲村:気が気じゃなかったです。これが普通に高校野球の試合を観るのなら、結局は感情移入しつつも、そこまでの不安な気持ちはないんですよ。あっ、大丈夫かな、大丈夫かなっていう気持ちはないんですけど、兄の試合はもう観てられなかったです。

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