掃き溜めのツル「八頭身美人」の登場…強い女列伝2

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萬田久子の告白

「結婚でも何でもいい、とにかく東京へ行きたいというのがあったんです。それで予選に来てみたんですけれど、甘いもんじゃないということが分りましたね。井の中の蛙でした。みんな背が高くて綺麗だし、落ち込むために来たようなものだわ、と思っていたら、こうなったんです。でも“整形したんじゃないか”とか言われたし、マネージャーからも“あなた、よくミス・ユニバースになれたね”と言われました。あの時はちょっと庶民的な子が選ばれたりして、ちょうど世代交代の時期だったのかもしれませんね」

 綺麗なだけでなく、謙虚でもある。困ったな、何だか好きになってしまいそうだ。

「女優になっていなかったら、私は大阪の下町で、ずっと自分は美人だと思って生きていたと思いますよ。引き算することを知らなかったから。ミスにさせて戴いて、女優の仕事もさせて戴いて、それで謙虚になりましたね。ミス・ユニバースになったら契約を交わすんですよ。派手な交際は控え目にとか、そういうことがびっしりと書かれていて、それを読んだ時、これは出来ない、私には無理だ、と。もともとミスや女優ではなく、東京に執着があったわけだから、夜な夜な遊び回っていたんです」

「母は“肩書きは自慢にしたらええやんか”と励ましてくれたんですが、最初の頃はやはり重荷でしたね。“元ミス・ユニバースの萬田さん”て言われるのはもう嫌だなあって。でも、22くらいの頃、ドラマで緒形拳さんとご一緒させて戴いた時、“君はミスみかんだった?”と訊かれて――ミスみかんの方を見下しているみたいで、嫌な言い方なんですが――ああ、人は自分が気にしているほど憶えているわけじゃないんだと思って肩の力が抜けました。いまは、もうミス・ユニバースだったことが、すごい自慢ですね。やっぱり、いい思い出っていうか、青春の1ページですよ。いまの人生があるのはミス・ユニバースのおかげ。私の人生を変えたのはミス・ユニバースです。美人だとか、綺麗だとかと言って戴くのが、いまは心の底から嬉しい。実は、昨日も渡瀬恒彦さんから、“ミス何だったっけ?”と訊かれたんです。もちろん、胸を張って堂々と答えましたよ、“私はミス・ユニバース日本代表よ”って」

2020年8月12日掲載

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