「コロナ失業」で生活苦へ一気に転落した人々の告白…忍び寄る詐欺の魔の手

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失業保険を待っている間に家賃も払えず食費もなくて

「働きたくない訳ではなく、働きたいのに働く場所がないんです。どうしろっていうんですか。失業保険を待っている間に家賃も払えず食費もなくて死んでしまうかと思いました」(Aさん)

 SNSなどにそういった不満や愚痴をあげていたところ、別の飲食店で一緒に働いたことのある知人から連絡が届いた。「稼げる上に当日払いの仕事がある」という内容だった。

 詳細を訊ねようとしても、「細かいことは会った時に」という返答ばかりで要領を得ない。数日後、繁華街の喫茶店で落ち合った際に「指定された場所でキャッシュカードを受け取るだけ」とその知人に説明された。Aさんは聞くだけで法に触れる怪しい仕事だと感じ、席を立とうとしたが知人に「金に困っているのだろう」と1万円札を握らされた。アルバイトは見つからず、生活費は底を尽きかけている。そうした状況で手の中にある金銭を振り払うことは難しかった。

 再度椅子に座り直し、より具体的に話を聞くと、スーツ姿で指定する高齢者の自宅へ行き、クレジットカードを預かること。その際に言う台詞も指示する際に教えるというものだった。その際はスーツを着て事前に指示された通りの受け答えをするように言われたという。連絡は一定の時間が過ぎるとメッセージの消えるアプリで行うと説明された。

 Aさんは「ニュースでよく見るオレオレ詐欺のようなものだろうか」と思いつつも覚悟を決めたが、現在のところその連絡はまだ来ていないという。Aさんが「どうなった?」と指定された方法で連絡しても音信不通。SNSを見てもしばらく前から更新されておらず、知人がどうなったのか知る術はない。

 Aさんは「生活に困って犯罪をやろうと覚悟しましたが、急にはしごを外され却って我に返りました。八方ふさがりなのは今も変わりませんが、次の家賃の支払い日が来るまでにアパートを引き払い、実家に戻って仕事を探すことにします」と話す。

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