金正恩がダマされた…外国スパイ機関が仕掛けたリゾート詐欺でドル金庫は空に

国際 韓国・北朝鮮

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いかにして工作に巻き込まれたのか

 M資金とか怪しい詐欺案件はいつの時代も消えることはなく、知識も分別もある経営者や著名人があっさりダマされ、ニュースになることはよくあった。もっとも、ダマされたのが金正恩第一書記だとしたらどうだろう。外国人実業家と組んで国際温泉リゾート計画を始めようとしたものの、当の実業家が外国の情報機関の人間だったという。要するにスパイにいいようにやられた挙句、違法行為でシコシコ貯めこんだ虎の子のドル資金が底をつきそうな状況のようで……。

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 今日は、北朝鮮が国際観光温泉リゾート開発のために莫大な資金を投入したものの、情報機関の工作にハメられ、カネをドブに捨てることになった話をします。

 陽徳(ヤンドク)の国際温泉リゾート事業は、もともと、北朝鮮が外貨稼ぎの一環として行っている「美人局」の女性が端緒になったといわれています。喜び組に所属する「キム某」という女性が接待対象の外国人実業家から、金正恩の興味を引きそうな温泉観光リゾート計画の提案を受け、そのことを上層部に報告したのです。

 その上層部は「中央党9局」という部署。「国際温泉マニアグループ会長」といういかにも怪しげな肩書きを名乗る外国人実業家は、「北朝鮮の平安南道という郡にある最高泉質の温泉地に国際的な基準を満たす温泉リゾートを作れば、自分たちが温泉好きの富裕層を呼び込む」と提案。中央党9局は件の実業家に会い、プランの実現性と収益構造を多角的に検討し、彼の身元確認まで済ませたとのことです。

 事業提案は、9局の管理組織である中央党を経て、最終的に金正恩に報告されました。金正恩はかねてリゾート開発としては「元山カルマ観光特区」に集中投資してきたのですが、結果は芳しくなく、虎の子である手持ちの米ドルも底をつこうとしていました。

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