北朝鮮のコロナ流行の実態…脱北したのに敢えて北へ戻った”感染源”青年の告白

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高熱を伴う肺炎患者がすでに数百人死亡し、国際社会の協力は不可欠

 7月26日、金正恩は党政治局非常拡大会議を緊急招集。非常事態を宣言し、特級警報を発令した。「新型コロナとの戦争」を宣言して世界を驚かせた。新型コロナに感染した脱北者が軍事境界線を越えて開城(ケソン)市に入ったことを受け、北朝鮮全域に感染が拡大するリスクに備えてのものと説明されている。北で博士号を取得した専門家・金興光(キム・フンガン)氏が、いまそこで何が起こっているのかについて、そして、脱北したのに今回敢えて北に戻った青年との面会の記録を披露する。

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 北朝鮮で45年間暮らした私ですら非常事態宣言など初耳ですが、この宣言自体、色々と辻褄が合わないものなのです。

 労働新聞の報道によると、脱北者が新型コロナを開城市に広めたため、そこから全土に拡散する可能性があるという説明になります。

 これはデマです。脱北者は18日に南北軍事境界線を越えて来たとのことですが、警備に当たる軍人との接触はありませんでした。そもそも脱北者が軍事境界線を越えて自首せずに市内を歩き回れば逮捕され、スパイとして処刑される可能性があるのは初歩的な常識です。しかも今回、脱北青年は開城市の保衛司令部をまっすぐ訪れており、新型コロナを拡散する可能性は低いといえます。

 かねて北朝鮮は感染者がいないと言い張ってきましたが、実は、高熱を伴う肺炎患者が数百人死亡し、騒ぎになっています。事実を明らかにし、国際社会の協力を受け入れない限りコロナ対策は立ち行かなくなっている。

 それでも北朝鮮による中朝国境封鎖は続いており、新型コロナ感染対策に一日の長がある中国からの専門家すら受け入れていません。というのも、中国の専門家を受け入れることで、中国を通じて感染が拡大したことが明らかになり、むしろ後見人の中国に迷惑をかけることになりかねないからです。

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