尖閣周辺で中国公船100日連続確認の異常事態 中国「外交部」幹部“トンデモ発言”の読み方

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中国は「密約は破棄」と宣言

 共同通信が記事を配信しており、加盟社が掲載した。ここでは沖縄タイムス(電子版)が7日に配信した「尖閣『中国固有の領土』/外務省高官 パトロール正当化」からご紹介する。

《中国外務省の趙立堅副報道局長は6日の記者会見で、尖閣諸島について「中国の固有の領土だ。釣魚島(尖閣の中国名)の海域でパトロールし法執行することは中国の固有の権利だ」と主張し、正当化した》

「注目すべきは『法執行することは中国の国有の権利だ』と言明したことです。これまでに何度も中国は『尖閣諸島は中国の領土だ』と発言してきましたが、尖閣諸島で警察権を行使することを自国の権利と断言したのは初めてのはずです。『過去の密約は反故とし、今後はこちらも日本人の逮捕、起訴を辞さない』と宣言したと解釈すべきでしょう」(同・篠原氏)

 共同通信の記事によれば、報道局長の発言は《石垣市議会が6月、尖閣の住所地の字名を変更する議案を可決した》ことが大きく影響していると指摘している。

 これは市議会が、尖閣諸島の字名を「登野城(とのしろ)」から「登野城尖閣」に変更する議案を賛成多数で可決したことを指している。メディアの取材に市は「市内に同じ字名の地域があり、事務的なミスを防ぐため」と説明していたが、中国の猛反発が報道されていた。

台湾へのプレッシャー

 だが、篠原氏は「そもそも中国にとって尖閣諸島=釣魚島は対日というより、対台湾の問題です」と分析。日本に対する圧力という見方を否定する。

「中国が台湾に軍事侵攻を行うとして、尖閣諸島が重要な中継地になるのは、地図を見れば一目瞭然です。中国の意図を読み解くためには、6月30日に国会にあたる全人代が『香港国家安全維持法案』を全会一致で可決したことに注目すべきです。香港で反逆や破壊行為を禁止する法律が制定されたことと、7月6日に外交部の報道局長が尖閣諸島における警察権に言及したことは、同じ内容と言っていいでしょう。いずれも中国が『1つの中国』を実現するため勝手に決めた“タイムスケジュール”に沿った行動であり、台湾に対する強烈なプレッシャーと読み解くべきなのです」

週刊新潮WEB取材班

2020年7月29日掲載

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