文在寅大統領に「靴を投げたおじさん」単独インタビュー…

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脱北女性の人身売買問題はスルー

――なるほど、普段から大統領への不満を持て余していたということですね。文政権になって日韓関係は悪化の一途をたどっています。また、大統領による親日勢力の清算などには様々な論争がありました。

 文大統領は就任以来、抗日独立運動を称えて親日派を粛清しなければならないと主張してきました。文大統領は自分を支持する人々を抗日に、支持しない者を親日として、ふるいにかけたのです。衝撃的なのは、昨年の「3・1節(独立運動記念日)100周年記念式典」で、「あまりにも長く延ばしてきた親日残滓の清算については反省し、独立運動は高く評価されなければならない」と公に宣布したことです。

 植民地支配から2世紀近く経ち、韓国は日本と国交を正常化し、経済、文化的に正常な交流を続けています。北朝鮮の金日成もまず親日派を清算し、これを独裁体制構築の一里塚としました。これを振り返ると、文政権が推進する親日勢力の清算は結局、北朝鮮のような独裁体制を目指していると見て何ら不自然ではないでしょう。

――脱北女性の人身売買などの性搾取問題に反対し、人権運動を展開中だと聞いています。これを無視してただ慰安婦被害者問題にだけ執着する文政権に対して評価するなら…。

 2017年5月に文政権は発足し、朴槿恵政権時代に締結された2015年の「慰安婦合意」を事実上廃棄しました。一方、今年6月8日、いわゆる「慰安婦被害者後援金を巡る議論」が起こると、「慰安婦運動の大義は堅固に守られなければならない」と直接、事態収拾に乗り出すことまでしたのです。

 文政権が疎かにした結果、脱北者は逼迫した状態に置かれています。特に女性たちは、中朝国境地帯でブローカーに人身売買され、サイバー性犯罪に動員されているのが実情。

 各種海外報告書などを総合すると、9歳の幼い少女から20代初めの女性がわずか数十万ウォンから数百万ウォンで売られ、サイバー性犯罪、強制結婚、売春などをさせられています。

 慰安婦事件よりももっと深刻な脱北女性の人身売買などには口をつぐみ、反日を扇動して慰安婦問題には口を挟み続ける文政権には、憤りしかありません。

 告白を受けて……。大統領への靴投げは計画通り、確信犯だったように聞こえる。

張惠媛(チャン・ヒェウォン)
建国大学広報大学院でジャーナリズムの修士号を取得、漢陽大学政治外交学科大学院で国際政治を専攻。 現在フリー記者として活動中。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年7月21日掲載

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