BTS様様で…上場する所属事務所につきまとうリスクとは?

エンタメ 芸能 2020年7月19日掲載

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億万長者目前の事務所代表

 7月15日、2年3ヵ月ぶりに日本で4枚目のアルバムをリリースしたBTS。18日夜にはNHK「SONGS」に韓国本国からリモート出演し、人気・実力をいかんなく発揮した。一方、所属会社のビッグヒット・エンターテインメント(以下ビッグヒット)はコスダック(KOSDAQ)市場への上場に向けた動きを本格化させ、順風満帆に映るのだが、コロナ禍による打撃、BTSへ大きく偏ったビッグヒットの事業構造を懸念する声も上がっていて……。
 
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 ビッグヒットは6月28日、韓国取引所(KRX)に上場のための予備審査請求書を提出し、株式公開(IPO)の事前申請を完了した。KRXは約2ヵ月間の検討期間を経て審査結果を発表。一方のビックヒット側は年内上場を目指す意向を示している。

 2005年2月に設立されたビッグヒットの主な事業は、音楽制作およびマネージメント。パン·シヒョク代表取締役が株式全体の50%超を保有している。ビッグヒットはIPOを控え、経営陣をリフレッシュし、M&Aを通じた体質改善にも着手。今年5月、中堅のプレディス・エンターテインメントを買収し、韓国最大手のエンタメ会社としての規模を確保することになった。

 プレディスがビッグヒットに合流したことで、ビッグヒットは自社ボーイズグループのBTS、トゥモローバイトゥゲザー(TXT)に続き、さらに強力なアイドルを揃えることになった。その他にも芸能事務所を買収した他、知的財産権、公演など事業領域ごとに法人を分離している。

 韓国で、コスダック(KOSDAQ)市場に進出している大型エンタメは3社で、JYP、SM、YGエンターテインメントがそれだ。ビッグヒットの昨年の売上高と本業の儲けを示す営業利益はそれぞれ5879億ウォン、975億ウォン。大手エンタメ3社が上げた営業利益の合計は858億ウォンだから、1社だけで大手3社を凌ぐ儲けっぷり。ちなみに、ビッグヒットの2018年度の実績は売上高3014億ウォン、営業利益799億ウォンで、1年で95%、17%分、それぞれ業績を伸ばしたことになる。

250万人動員予定のツアーが中止になって

 中小レベルの芸能企画会社としてスタートしたビッグヒットは、13年にデビューしたBTSが世界的な成功を収め、売上が急激に成長したおかげで、エンタメ業界トップの座に君臨することができている。専門家の間では、ビッグヒットの企業価値は最低2兆ウォン、中には6兆ウォンと見積もる者もいる。

 15日の終値基準でSM(7433億ウォン)、JYP(1兆329億ウォン)、YG(6936億ウォン)の時価総額と比較すると、その高い評価が理解できるはずだ。

 もっとも、「ビッグヒットの場合、所属アーティストのうちBTSに対する依存度があまりに高い。BTSメンバーの兵役問題が不可避であることは、事務所の業績悪化リスクとして作用する」といった意見もある。実際、ビッグヒットの売り上げのBTS依存度は約90%に達する。

 BTSはコロナ禍を受け、米国とカナダ、日本、英国など18都市で展開予定だった「マップ·オブ·ザ·ソウル·ツアー」の中止を余儀なくされた。今年4月から9月にかけての同ツアーは少なくとも250万人規模を動員予定だったという。今年末からBTSメンバーらの軍入隊が相次ぐことは避けられないことだから、ビッグヒットとしては、その前にできる限り売り上げをたてたかったわけだが、目算が狂ったのは間違いない。

1992年12月生まれのジンは、今年末までに入隊しなければならない。末っ子の1997年9月生まれのジョングクが2025年に入隊する場合、約5年の差が発生する。空白期間の長さを考慮し、少しでもその空白を短くするためにメンバーを同時入隊させる可能性をにおわせたことがある。

ファンクラブ運営も自前で

 もちろん、事務所側も手をこまねいていたわけではない。事情通によると、
「イル活(日本での活動)だけはやるので、なんだかんだと美味しい日本にビッグヒットがなびいていたことはあるでしょう。ファンクラブの運営などは日本のカウンターパートには任せず、全部自分たちでやり始めていましたし」

 売り上げが急減する中で背に腹は代えられなかったのか、あるいは欧米と違って日本では稼ぎやすかったのか、いずれにせよ事務所の意向がイル活実現には大きく働いていることだろう。

 やってくるBTSの空白期間に向け、買収して手に入れたタレントをフル活用するプランは当然あったのだが、いわゆる事業多角化の試みは、予想したほどうまくは行っていない。

 例えばパン代表がプロデューサーを務め、エンタメ・メディアのCJENMが広報と放送を担当する共同プロジェクト「I-LAND」(アイランド)。オーディション番組として世間の一大関心事となったが、ケーブルテレビのMnetとtvNで同時放送されたものの、それぞれ視聴率1%を記録する回があるなど、超低空飛行を余儀なくされている。

 年末に想定されるジンの入隊と会社のIPO時期は、ほぼ重なることになる。そこへ次世代スターの売り出し問題が絡んで、パン代表はヤキモキしていることだろう。