藤井聡太七段、最年少タイトル獲得…「将棋と囲碁」学力アップの軍配は?「つるの剛士」ら語る

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入試には囲碁?

 さらに、日本将棋連盟常務理事の森下卓九段(51)は、

「将棋を義務教育化すべきだと考えています」

 という大胆な持論を披露する。小学4年から中学3年までの間、週に1回将棋を指せば一生楽しめる実力がつくというのである。

「将棋は礼儀作法や冷静な思考力を身につけることができますよ。かく言う私は、父の影響で幼稚園から碁を始めたけど“ゴ縁”がなかったと言う他ありません」

 その代りに小学校では将棋が好きになったそうで、

「恐らく感情移入しやすかったのでしょう。盤の上では、自分が全軍の指揮官となったつもりで戦えますから。例えば、将棋には『美濃囲い』といった守り方があります。戦国武将・斎藤道三が築いた難攻不落の稲葉山城に例えた堅い守りですが、それを崩せば一気に相手の将も倒してしまえとなる。群雄割拠の攻防戦を体感できるのです」

 歴史にも親しめて年頃の男の子など夢中になれること請け合いだが、他方で日本棋院常務理事を務める原幸子四段(47)はこんな意見だ。

「碁は相手をやっつけて排除するのではなく、昔から『手談(しゅだん)』といって一手一手コミュニケーションを図って最後にちょっと勝つ。相手との知恵比べをするモノ。将棋と比べ同じ局面が生まれる可能性は少ないので、その都度生じる変化を楽しむ癖がつく。日常でも人は初めてのことに直面すれば、戸惑う場面があるけれど、囲碁経験者は、変化そのものを楽天的に捉え、動じない人が多いと思います」

 それこそが、グーグルが人工知能(AI)を搭載した「アルファ碁」を開発した理由だと話は広がる。

「囲碁は世界一、変化が多いゲームと言われ、滅多に同じ局面が現れません。未だにAIで解明できない点が多いので、グーグルさんもターゲットにしたのでしょう。そういった意味で、囲碁は20年の大学入試改革以後の受験対策に有効だと思います。これまでの入試問題は暗記がメインで、答えはコレと言えればよかった。けれど、今後は暗記一辺倒では解けない出題方法にシフトすると聞いています。知識の蓄積だけでなく、状況に合わせた応用力が試される。将棋のプロは過去の記録を暗記して、その局面で一番いい手を指しますが、囲碁では新たな状況に対応する応用力が求められる。囲碁をやった方が、大学入試には有利なのでは」

 けれど「入試」の次に待ち受けるのは「就職」という関門だ。そこで斯界の先人たちに話を聞いてみよう。

(2)へつづく

2020年7月17日掲載

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