金正恩の死か危篤と関連…金与正が突然、米朝首脳会談を頑なに拒絶した理由

国際 韓国・北朝鮮

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米朝首脳会談を行わない理由と根拠をだらだらと…

 去る7月10日、北朝鮮ナンバー2の金与正・労働党第1副部長が突然、談話を発表した。これまでで最も長いもので、米朝首脳会談に関して述べたものの、曖昧模糊とした内容だった。金与正の核心的なメッセージは何なのか。北で博士号を取得した専門家の分析。

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 談話は取り止めのない内容があまりにも多く、入り混じっていてすべてを紹介するほどのものではないが、金与正のホンネの部分を取り出すなら、「米朝会談は絶対にしない。いやできない」ということになるだろう。

 一部には、金正恩が金与正を前面に出して、第4回米朝首脳会談に関心があると逆説的に表現したのではないかという分析がある。その根拠として、金与正の談話文にある次の文が引用されている。「あくまでも私個人の考えだが、今年は朝米首脳会談はないだろうとみている。しかし、何が起きるか分からない。両首脳の判断で、どのようなことが突然起きるかは誰にも分からない」という内容だ。この文言ひとつとってもまどろっこしいものだが……。

 しかし、待ってほしい。米朝首脳会談の拒絶が、北の外務省や米朝交渉パートナーなど実務交渉チームレベルの主張ならまだしも、金与正によるものである以上、北朝鮮の最高指導部の明確な意思を明らかにしたと考えるのが自然だろう。

 ではなぜ、金与正が米朝会談を頑なに拒絶するのか。

 結論からいうと、金正恩が亡くなったか、生きているとしても首脳会談ができないほど深刻な状態に置かれているからだ。そうでないなら、米朝首脳会談は望まないと一言で言えば済む。だらだらと米朝首脳会談を行わない理由と根拠を述べる必要はない。実は、今年4月に金正恩の身辺異常説が流れる直前まで、北朝鮮は米朝首脳会談を完全に拒否したことはない。

 昨年6月30日、板門店でトランプと金正恩は電撃的に面談した。そして10月5日、スウェーデンのストックホルムで米朝実務交渉チームは米国の「創造的提案」をめぐって対立したが、北朝鮮が米国の提案に興味を示したことは確かである。北朝鮮は「先に制裁解除、後で非核化」という原則と異なる主張を述べ、年末までに新しい提案を提示しないなら「クリスマスプレゼントを贈る」と脅迫した。

 しかし、12月25日に予想されたクリスマスプレゼント、すなわち長距離ミサイルは発射せず、党政治局拡大会議を年末年始までの3日間開催して、米国の答弁を追求する政治的キャンペーンを繰り広げただけだった。北朝鮮が待ち焦がれていた米国の肯定的な反応、つまりトランプ大統領による首脳会談の提案を北朝鮮があっさり払いのける理由はない。

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