金正恩の死か危篤と関連…金与正が突然、米朝首脳会談を頑なに拒絶した理由

国際 韓国・北朝鮮

  • ブックマーク

Advertisement

金正恩が健在か否かを明らかにできる唯一の方法

 したがって、金与正の昨日の談話文は、「米朝首脳会談を二度と話題にするな!」という明白な声なのだ。裏返せば北にとって会談を行えない深刻な事情があるということで、それは金正恩の健康異常に繋がっていく。それにしても手の込んだことをしたものである。

 金正恩の健康異常を隠そうと米朝首脳会談を曖昧に断っている状況で、真実をどのようにして明らかにするか。

 このことに関し、私は発想を転換して北朝鮮の虚をつく戦略を提案したい。北朝鮮の虚とは何か。すなわち、金正恩が死んだか、致命的な健康悪化に陥っていることを北朝鮮が隠しているというまさにこのことだ。私はそのアキレス腱を攻略するため、韓国が先制的に大統領特使を派遣するか、あるいは南北首脳会談をしようと攻勢をかけてはどうかと考える。

 金正恩が健在か否かを明らかにできる唯一の方法は、金正恩を交渉の場に直接呼び出すことだ。南北首脳会談の話を持ち出すだけでも、北朝鮮は頑なに反対するだろう。気にせず首脳会談を提案し続ければ、北朝鮮は金正恩の健康異常をありのままに伝えることはできないため、会談が直ちに必要ない理由をむやみやたらと並べ立てることだろう。

 結局、首脳会談や特使交換が行われる可能性はなくとも、彼らの反応をよく見れば、金正恩の健康異常説に終止符を打つことができるのではないか。

金興光(キム・フンガン)
北朝鮮の平壌金策工業総合大学電子工学卒業後、咸興共産大学で博士号を取得。2003年に韓国へ脱北し、2006年には韓国政府内の統一部北朝鮮離脱住民後援会課長を経て現在、(社)NK知識人連帯の代表を務めながら韓国内で対北専門家としてTV、新聞、YouTubeなどで活躍中。 http://www.youtube.com/c/NKtv3

週刊新潮WEB取材班編集

2020年7月16日掲載

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。