逮捕されたのは大麻「ジャクソン」だけじゃない…禁固45年で服役中“史上最低の助っ人”も!

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 新型コロナウイルスの影響で開幕が遅れたものの、7月10日にはようやく限定的ながら球場に観客が戻ったプロ野球。だが、そこに水を差すような不祥事が起こってしまった。前千葉ロッテの右腕ジェイ・ジャクソン投手が大麻取締法違反容疑(所持)で広島県警に逮捕されたのだ。

 2016年から18年までは広島でプレーし、セットアッパーとしてセ・リーグ3連覇にも貢献したジャクソン。19年はMLBのブルワーズでプレーしたが、そのオフに千葉ロッテと契約してNPBに復帰。今年は7試合に登板して0勝0敗1セーブ、3ホールド、防御率3.86という成績をマークしていた。

 そのジャクソンが最後に登板したのは7月7日。翌8日には自ら退団を申し入れてロッテもこれを了承したと報じられたものの球団から詳しい説明はなく、ファンの間では日本人妻との家庭問題が原因なのではとの憶測も流れたが、事実は想像を超えるものだった。

 ただ、残念ながらNPBに助っ人として来日した外国人選手が逮捕される例はこれが初めてではない。比較的最近の事件を挙げると、マキシモ・ネルソンとヤマイコ・ナバーロがいずれも銃刀法違反容疑で逮捕されたことを覚えている方も多いだろう。

 ドミニカ共和国出身のネルソンは2008年に中日へ入団。翌09年には主にリリーフで26試合に投げるなど、なかなかの戦力となっていた。問題が起こったのは3年目の開幕を控えた2010年のキャンプでのこと。沖縄の那覇空港で手荷物検査の際に荷物から銃弾が発見されたのだ。

 ネルソンは母国での護身用に携帯していた銃を来日の際に置いてきたが、銃弾だけ紛れ込んでしまったと過失を主張。警察も故意の持ち込みの可能性が低いと判断して翌日には釈放されたが、中日はネルソンに3カ月の出場停止処分を下した。

 同じくドミニカ出身のナバーロも事件の経緯はネルソンとほぼ同じ。那覇空港での検査で銃弾所持が発覚したものだった。こちらは開幕から4週間の出場停止処分などを受けている。ちなみにネルソン、ナバーロのいずれも最終的には不起訴処分だった。

 ジャクソンと同じ大麻取締法違反(所持)で逮捕されたのが、1980年代に近鉄でプレーしたリチャード・デービスだ。乱闘騒ぎを起こすなど気性の荒さはあったものの、実力は申し分ないものだった。来日2年目の85年には打率.343、40本塁打、109打点でベストナインに選出。翌86年も36ホーマーを放つなど近鉄の中軸としてチームを支えていた。

 ところが、88年6月に突然の逮捕。現役選手の現行犯逮捕はプロ野球史上初の大不祥事だった。近鉄は逮捕翌日にデービスを解雇。球界から永久追放となったデービスは国外退去命令を受けてアメリカへ去っていった。

 のちの調査では、デービスがMLB時代から大麻を常用し、リーグからも要注意人物にリストアップされていたことが判明。その事実を重視せずにチームに在籍させ続けた近鉄の「身体検査」の甘さが批判の対象ともなった。

 NPB球団から引退後のトラブルではあるが、オリックスで長く活躍したトロイ・ニールも不名誉な逮捕リストに名を連ねる一人。ニールはアスレチックスで通算37本塁打を放ち、95年からオリックスでプレー。1年目から2年連続でパ・リーグの指名打者としてベストナインに選出され、特に96年は32本塁打、111打点で二冠を獲得して日本シリーズでもMVPを獲得する大活躍だった。

 彼も気性が荒く、しばしば乱闘騒ぎを起こしたり退場処分を受けたりしたが、それでも日本でプレーしている間は警察の厄介になることはなかった。だが、オリックス退団後の2001年、韓国リーグの斗山でプレーしていたニールは一般人と口論になって暴行事件を起こしてしまう。このトラブルで斗山を解雇され、プロ野球選手としてのキャリアは終わってしまった。

 その後、ニールは実業家として南太平洋のバヌアツでリゾート開発に携わる。ところが2005年になって元妻と子供への養育費不払いのための国外逃亡容疑でアメリカ国内にて起訴。2008年の帰国時に逮捕された。もっとも、最終的には執行猶予処分となり、のちに元妻とも和解が成立している。

 さて、ここまで取り上げた5人のうち4人は大麻取締法違反容疑と銃刀法違反容疑による逮捕。刑事事件ではあるものの、被害者がいたわけではなかった。ニールも最終的に元妻と和解した。

 一方、かつてロッテに在籍したメル・ホールの犯した罪は償っても償いきれない悪質なものだ。

 ホールは野球選手としては優秀だった。ヤンキースなどで4番を務めるなどメジャー13年間で1276試合に出場し、通算134本塁打を放っている。この実績を買われて93年に千葉ロッテへ入団。打率.296、30本塁打、92打点をマークしてみせた。

 もっとも、その人間性は当時からチームメートの不興を買っていた。1年遅れの94年にロッテ入りしたヘンスリー・ミューレンが自分よりメジャー実績に劣っているとみると使い走りのようにこき使い、同僚だった愛甲猛からは「史上最低の野球選手」と酷評された。

 だが、同僚へのいじめですら些末なことに思える事件をホールは引退後に起こした。バスケットボールのコーチをしていた時に、未成年の少女たちに対するわいせつ行為で2007年に逮捕されたのだ。強姦罪とわいせつ罪で有罪判決を受けたホールは禁固45年、仮釈放にも22年以上を要する重い刑を科され、今もなお服役している。

 プロ野球選手は「品行方正な模範的人物たれ」とまでは言わないが、犯罪行為となるとさすがに話が別。今回のジャクソン逮捕を受け、NPBも外国人選手に対する啓発活動の見直しを示唆した。今後は各球団とも外国人選手の獲得に際し、より厳しい身体検査を求められるだろう。今回の件を教訓とし、クリーンなプロ野球の実現を願うばかりだ。

週刊新潮WEB取材班

2020年7月13日掲載

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