コンビニ「レジ袋有料化」から1週間、買い物どう変化 関西は買わない?カゴ貸し出しの店も

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カゴの貸し出し

 取材に応じたオーナーや従業員たちは、懸念されていたようなトラブルは起きていない、と口を揃えます。3大コンビニのお客様への対応は、セブン-イレブンは店側から「入れましょうか?」の声がけ、ローソンはお客様から要望があれば店員が、ファミリーマートは原則お客様が自分で袋詰めするオペレーションになっています。ところが、セブンやローソンの関係者たちも「ほとんど、お客さんが自分で入れます」と言います。「入れてください」と言われれば対応しますが、頼むお客様はめったにいないそう。高齢者など、袋詰めに手間取る方には店側から袋詰めを申し出るそうですが、こうしたオペレーションは試行錯誤しながら、変化していくでしょうね。

 高齢者といえば、こんなお店もあるようです。

「その店舗は土地柄、お年寄りのお客さんが多い。温めたお弁当を手ぶらで持って帰るのも難しい方がいるためでしょう、なんと買い物カゴを貸し出ししていました。借りたお客さんはそのカゴに入れて持ってゆき、後日、店に返すルールになっているみたいです」(さるチェーンの関係者)

 こうした特別な対応は、有料化からまだ間もないからこそ、でしょうね。

 先述のとおり、トラブルらしいトラブルはないと言いますが、「袋をいらないと言われると、ついつい箸やストローも渡し忘れてしまう」というウッカリ問題はあるようです。これは客として私がコンビニに行った時にも、体験しました。あとは袋がいると言われたときに、その代金を計上してしまうのを忘れてしまうこともあるそう。ちなみに、セブンは袋代が店の「売り上げ」に、ローソンとファミマは「雑収入」扱いになります。後者の場合は、袋のぶんはロイヤリティとして本部に収める必要がないのです。

 あとは「袋いりますか?」と聞くことで、代わりに「ポイントカードお持ちでしょうか?」と尋ねにくくなった、ということもあるようです。お客様を質問攻めにしてしまうわけですからね。これも、そう言われれば尋ねられなくなった気がしませんか? レジ袋の有無のやりとりと、お願いされた場合の袋詰め作業で、だいたい5~15秒、接客時間は増えます。その分、どうしても他の作業はできなくなります。「揚げ物あげたてです」「おにぎりお安くなっています」といった店内での呼びかけ(山びこ接客といいます)ができなくなっている、とこぼすオーナーもいました。

 今後、さらに1カ月が経ったタイミングでポイントになりそうなのは、レジ袋を有料化したことで客単価が下がっていないか、という点です。当然、マイバッグ利用者はその大きさに合わせて大量買いは避けるようになりますから、朝は影響がなくても、「かさばる」購入が多い昼夜の単価が下がった、という声も聞きますし、手で持てるだけの量にセーブして買い物をするお客様も増えた、とも聞きました。レジ袋が必要になる熱い食べ物を嫌ってか、フライヤー商品(レジ脇のコンビニスナックのことだと思ってください)が売れなくなったという従業員の意見もあります。

 熱々を避けるという点では、“グラタン、ドリア熱々問題”が囁かれています。いわゆる普通の弁当は温めても手で持って帰れますが、この2つに関しては、レンジ温めの過程で蒸気が吹き出し、非常に熱くなる。袋がないと、とても持ち帰れないわけです。今の季節はあまり店頭に並んでいませんが、秋冬になり熱々メニューが増えてくると、レジ袋は売れるようになるかもしれません。

 客単価に関しては、影響を感じていないというコンビニ関係者もいます。この辺は1か月後に各社が出すであろう、月次売り上げに注目しています。

渡辺広明(わたなべ・ひろあき)
流通アナリスト。株式会社ローソンに22年間勤務し、店長、スーパーバイザー、バイヤーなどを経験。現在は商品開発・営業・マーケティング・顧問・コンサル業務など幅広く活動中。フジテレビ『FNN Live News α』レギュラーコメンテーター、デイリースポーツ紙にて「最新流通論」を連載中。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年7月8日掲載

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