巨人・元木、宮本…「タレント上がりコーチ」の誠実が支えた原の“長嶋並び”

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コミュニケーション能力に長けて…

 そして元木大介ヘッドコーチと宮本和知投手チーフコーチですが、一昨年コーチに就任なさった時に堅物の化石のようなOBの方や世間から「タレントやってたやつに何ができる」などと揶揄されていましたが、結果はどうなったでしょうか? 立派にチームを4年ぶりの優勝に導くことになりましたよね。私なりの視点で言わせてもらいますと、タレント上がりコーチだったから良かったのです。お二人は選手時代からコミュニケーション能力に長けておりましたが、タレント活動をなさることでさらにその能力に磨きをかけたのではと思っております。原監督はその部分もしっかりと見抜き評価をして、今シーズンに至ってはそれぞれ昇進なさいました。

 元木コーチは同い年ということもあって、いろいろお話しさせていただく機会も多かったのですが、実は真面目な性格でして、特に野球に対しての思考であったり愛であったりは人一倍高いものがある方です。これは彼の野球解説をラジオなどで聞いていた方はご存知かと思いますが、色眼鏡のみで見ていたなら気づかなかったことでしょう。

 一方、宮本コーチに関しましては、「ズムサタ」のおちゃらけたイメージが強いかと思いますが、お目にかかりますと、とにかく明るくてこちらが恐縮してしまうほど細やかな気を使ってくださる方であります。さらに2007年2月にロサンゼルスでスポーツ心理学を学ばれましてメンタルトレーナーのライセンスも取得なさっているのです。さらにあのコミュニケーション能力があれば選手が慕うのも理解できますよね?

 そして今シーズンは石井琢朗野手総合コーチが加わったことも見逃せません。他球団に選手やコーチとして在籍していた時から、羨望の眼差しで見つめていた石井さんが巨人のユニホームを着てくださるなんて感激いたしました。その卓越した指導法で、中島宏之内野手の打棒復活に貢献したり、炭谷銀仁朗捕手の打撃開眼の手助けをしてくださったり、若手ですと北村拓巳内野手の成長を促したりしてくださったり、これからもいろいろな選手への指導を是非していただきたく思います。

 野球はもちろん選手がプレーをして魅せてというスポーツですが、原監督のリーダーシップそして信頼されたコーチ陣がその手助けに全力の魂を注いでくださっているからこそという部分もあります。

 今年も前途洋々の巨人軍、昨年果たせなかった日本一に向けて邁進していたたきたく思います。私は応援することしかできませんが……。

徳光正行
1971年12月生まれ。茅ヶ崎市出身。日本大学芸術学部在学中よりミュージシャンを目指すが、父の病により断念。その後、司会業やタレント業に従事する。また執筆活動にも着手し、『伝説になった男~三沢光晴という人~』『怪談手帖シリーズ』、岩井志麻子氏との共著に『凶鳴怪談』がある。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年7月6日掲載

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