「日本郵便」「かんぽ」社員のコロナ給付金不正受給 その“手口”とは

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 東日本大震災の時もそうだったように、天災に見舞われると、どさくさに紛れて悪さをはたらく輩が出てくるものである。

 今回は、日本郵政グループの社員だった。

 日本郵便とかんぽ生命の社員約120人が新型コロナウイルスの影響を受けたように見せて、「持続化給付金」を申請していたことが明らかになったのは、6月12日。昨年、かんぽ生命の保険商品が不正販売された不祥事で、日本郵政グループでは、保険の販売を自粛しているが、その収入減をコロナ禍にかこつけて補うためだったというから、呆れるほかない。

 が、もちろんこれはアウト。給付金事業を所管する中小企業庁総務課の担当者によると、

「給付金の給付規程には、新型コロナウイルスによる営業自粛やインバウンドの急減によって影響を受けた法人・個人が対象であると明記されています。これ以外は認められません。もちろん、不正に受給した場合は、ただちに返還するようにとも書かれています」

 ちなみに、今回、日本郵便やかんぽ生命の社員は、「事業主」として給付金を申請している。社員なのにどうして、こんなことができるのかというと、歩合給分の仕事があるからだ。

 日本郵政の調査・広報担当者が言う。

「(社員を個人事業主としているのは)所得税基本通達〈外交員又は集金人の業務に関する報酬又は料金〉に定めがあり、これを踏まえたものです。歩合制の部分は事業所得、固定給は給与所得になります」

 不適切申請が明るみに出ると、日本郵政は大慌てで陳謝したが、日本郵便は10人程度が取り下げに応じていない。かんぽ生命は、申請していた20人のうち、給付金を受け取った2人はすでに返還の手続きに入っているという。

 言うまでもなく給付金の出どころは税金である。日本郵政の過半を握る筆頭株主の財務大臣にしてみればさしずめこんな心境か。

「盗人を捕らえてみれば我が子なり」

週刊新潮 2020年7月2日号掲載

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