受信料裁判でNHK敗訴 秘密兵器「イラネッチケー」を開発した筑波大准教授に聞く

国内 社会 2020年7月1日掲載

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裁判で実験までするNHK

掛谷:NHKの放送には、ヤラセや意図的編集など、公共放送として問題のある事案が数多く発生しています。こうしたことが続くのは、NHKに公共性を担保するシステムがないからです。NHKに対して、国民が自らの声を反映させる何らかの手段を確立することが必要です。受信料不払い運動もその一環だったでしょうが、これは放送法に違反する行為に当たります。ならば、合法的にNHKとの契約を拒否する手段を提供しようと思ったのです。

――放送法第64条は、受信料契約と受信料についてこう規定している。

《第64条 協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない》

掛谷:さらに、旧郵政省(現総務省)は「復元可能な程度にNHKの放送を受信できないよう改造された受信機については、受信契約の対象とする」との見解も示しています。つまり、復元できないまでNHKが映らない改造をしなければなりません。

――「イラネッチケー」はネット(現在5800円)でも販売されているが、取り外しができるようにしては、ダメということだろうか。

掛谷:そういうことになります。そのため、「NHKから国民を守る党」の立花孝志さんは、テレビの後ろのアンテナ端子に「イラネッチケー」を取り付け、接着剤で固めて裁判に挑みましたが、NHKから「外せる」と指摘されて敗訴しました。また、彼はアンテナコンセントを開けて壁の中に「イラネッチケー」を埋め込むという工事をし、「素人には外せない」と裁判で主張しました。しかし、NHK側に「設置業者に依頼すれば元に戻せる」と主張され、再び敗れています。今回、原告の女性はネットで「イラネッチケー」のことを知って、私に相談してきました。そこで、絶対に外せないようにするために協力しました。

――どんな加工をしたのだろうか。

掛谷:外からは触れぬよう、テレビの中に入れ込みました。そしてアクリル板とアルミ箔を重ねた板で、テレビのチューナーと「イラネッチケー」を覆う枠を作り、その中にエポキシ樹脂を流し込んで固めました。電波を遮蔽するために樹脂の間にはアルミ箔を重ね、その上からさらに樹脂で固めました。例え外そうとしても、テレビが壊れるように加工したわけです。

――ガッチガチである。

掛谷:でも、何とかNHKを映すことができないものか、彼らは実験するんですよ。同じ型のテレビと、「イラネッチケー」を購入して、同じような加工をして……。

――NHKはそこまでやるんですか?

掛谷:そうです。そして、NHK側が我々のマネをして作ったテレビでは、同軸ケーブルをチューナーに近づけると映ると主張しました。ただし、先ほど申し上げた通り、我々はかなり厳しく電波の遮蔽加工もしましたから、同じ実験をしても我々のテレビでは、NHKは映らなかったんです。

――実験はどのように行われたのか?

掛谷:NHK側の弁護士事務所で、双方の弁護士、NHKの技術者と我々の立ち会いの下、お互いが見ている場で実験をやりました。結果的に、この実験が裁判のヤマバだったと思います。NHK側が我々のマネをして作ったテレビの検証は信用できないということが、この判決では決定打になったとみています。

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