首位打者は「柳田悠岐」か「近藤健介」?「山川穂高」の二冠王も…パ・野手タイトルを大予想

スポーツ 野球

  • ブックマーク

Advertisement

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、開幕は3カ月も遅れ、試合数は120試合制で行われる今季のプロ野球のペナントレース。チームの順位とともに注目を集めるのが個人タイトル争いだが、4回にわたり誰が獲得するのか予想してみたい。最終回はパ・リーグの野手編だ。予想するタイトルと昨年の受賞者、その成績は以下のとおりである。

【2019年パ・リーグ野手タイトル一覧】
首位打者:森友哉(西武) 打率.329
本塁打王:山川穂高(西武) 43本塁打
打点王:中村剛也(西武) 123打点
最高出塁率:近藤健介(日本ハム) 出塁率.422
最多安打:秋山翔吾(西武) 179安打
盗塁王:金子侑司(西武) 41盗塁

 最高出塁率の近藤以外は、全員が西武勢という結果となった昨年の打撃タイトル。改めて“山賊打線”の凄さを感じさせるが、秋山のメジャー移籍もあって今年は顔ぶれが変わるタイトルも多くなりそうだ。

 まず、首位打者だが、昨年タイトルを獲得した森も当然有力候補となるが、本命には推しづらい。理由は、やはり負担の大きいキャッチャーというポジションにある。過去に捕手で首位打者を獲得した選手は、野村克也(南海)、古田敦也(ヤクルト)、阿部慎之助(巨人)の三人がいるが、いずれも一度の獲得にとどまっている。

 先人の三人と比べても森の打撃技術の高さは目立っているが、それでも正捕手を務めながら、2年連続で首位打者を獲得することは簡単ではない。そうなると、浮上してくるのが昨年最高出塁率のタイトルを獲得した近藤と、過去に2度首位打者に輝いている柳田悠岐(ソフトバンク)だ。

 両者ともヒットを打つことに関しては、現役選手で“最高クラス”であることは間違いないが、どちらか一人に絞るということであれば近藤を選びたい。理由としては、技術の差というよりも、与えられる役割によるところが大きい。柳田はどうしても長打と盗塁数を期待されるが、近藤はある程度ヒットを打つことだけに集中できる。また、柳田は練習試合で順調な仕上がりを見せているが、昨年故障で長期離脱しており、今年で32歳という年齢も気がかりだ。そういう意味でも打率に関しては近藤を推したい。

 一方、出塁率に関しては長打力がある分、柳田は勝負を避けられて四球が多くなることが考えられる。こちらのタイトルについては、柳田が筆頭候補となるだろう。

 ホームラン王は2年連続タイトル獲得中の山川がやはり本命になりそうだ。対抗としては柳田、セ・リーグから移籍したバレンティン(ソフトバンク)などの名前が挙がるが、安定してホームランを打つ力という意味では山川の方が上回っているように見える。昨年は調子を落とした時期はあったものの、2年連続で40本塁打をクリアしたのは見事という他ない。打点王についても、リードオフマンの秋山が抜けたことによるマイナスはあるが、チームには森、外崎修汰、源田壮亮など安定して結果を残している打者が揃っていることから、やはり、こちらも山川が本命となりそうだ。

 難しいのが最多安打だ。過去5年間で4度このタイトルを獲得している秋山がメジャーに移籍し、本命は不在。首位打者のところで挙げた近藤、柳田ももちろん候補になるが、四球が多いタイプのため、安打数を稼ぐという意味では不利になることが考えられる。

 そんな中で推したいのが、吉田正尚(オリックス)だ。豪快なホームランの印象が強いが、過去2年間はいずれも160本以上のヒットを放ち、打率も3割2分をクリアしている。新加入した大物外国人のアダム・ジョーンズが後ろを打つことが濃厚で、相手投手が吉田と勝負せざるを得ない場面が増えるのもプラス要因である。初タイトルに向けて、準備は整ったと言えるだろう。

 盗塁王は、金子と過去3度タイトルを獲得している西川遥輝(日本ハム)の争いになりそうだ。昨年は西川が大きく数字を落として金子の独走となったが、盗塁の技術に関してはやはりこの二人が抜けている印象を受ける。昨年、ブレイクした周東佑京(ソフトバンク)も候補になるが、層の厚いチームで出場数が限られそうなのがマイナス要因だ。このオフにメジャー移籍を目指す西川が成績に対するモチベーションも高いと考えて、ここは本命としたい。

【2020年タイトル予想 パ・リーグ野手編】
首位打者:近藤健介(日本ハム)
本塁打王:山川穂高(西武)
打点王:山川穂高(西武)
最高出塁率:柳田悠岐(ソフトバンク)
最多安打:吉田正尚(オリックス)
盗塁王:西川遥輝(日本ハム)

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年6月26日掲載

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。