「河井案里」逮捕の裏側 「捜査担当検事の自死」「男遍歴」「ウグイス嬢との不倫」

国内 社会 週刊新潮 2020年6月25日号掲載

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 広島地検が河井案里参院議員(46)と夫の克行前法相(57)の内偵捜査に着手したのは昨年秋のこと。半年以上を費やした捜査は大詰めを迎えているが、広島地検では若き検事が人知れず非業の死を遂げていた。箝口令が敷かれる中、その一件を知った夫妻は――。

 国会閉会直後の6月18日、東京地検特捜部は、河井克行前法相と妻の案里議員を公職選挙法違反容疑(買収)で逮捕した。

 これに先立ち16日には、ウグイス嬢などに法定上限を超える報酬を支払ったとして公選法違反で起訴された、案里議員の公設第2秘書に懲役1年6カ月執行猶予5年の有罪判決が出た。検察は、被告が連座制の対象の「組織的選挙運動管理者」にあたるとしている。今後、有罪判決が確定し、検察側が起こす行政訴訟で連座制適用が認められれば、案里議員は当選無効となって失職する。

 昨秋に露見したこの事件は今年の1月から、広島地検が関係者への本格聴取や家宅捜索などを重ねてきた。その広島で今、秘かに次のような話が流れている。

〈河井案里の捜査を担当していた検事が自殺した〉

 この情報を、「事実です」と断言するのは、広島の政界関係者。

「亡くなったのは昨年12月10日。広島市内のマンションです。この検事は国立大卒で30歳前後と若く、2年ほど前に東京地検から異動してきたばかりでした。遺書は残されていなかったようで、動機は不明。地検は亡くなった事実自体を公表しておらず、はっきりとした原因は分かりません」

 案里議員の捜査との関係については、

「検事が亡くなったのは本格捜査の開始前です。とはいえ、事件の露見から捜査に着手するまでには告発状なども出されていたし、情報提供もあった。彼はそういった情報を精査し、案里事件を検察が手がけられるかどうかを見極める、下調べ的な位置づけの捜査にたずさわっていたのです」

 自殺の事実や原因を広島地検の検察広報官に聞くと、

「お尋ねの件に関しましては、当庁からは一切お答えいたしかねます」

 とガードが堅く、複数の検察幹部に尋ねても、

「当該検事を河井夫妻の捜査と徒(いたずら)に結びつけないでもらいたい」

 と、一様に口が重い。

 元東京地検特捜部副部長の若狭勝氏によれば、

「亡くなった原因が職務に関連することだったのであれば、法務省や検察庁には、説明する責任があるでしょう。私の知る限り、日本の現職検事の自殺は過去に例がありません。検事の仕事は想像以上にプレッシャーがかかり、本当につらい時があります。私自身も精神的に相当落ち込んだことがあって、霞が関の庁舎の地下1階から20階あたりまでを闇雲に階段で上り、どうにか落ち着きを取り戻したという経験があります」

 このような重圧のかかる毎日を送るなかで、自ら命を絶った若き検事。一体、何が引き金となったのか。

「自殺した原因はいまも分かりません……」

 検事の親族は声を震わせて切り出した。

「息子は職場近くの賃貸マンションで一人暮らしをしていました。その自宅で首を吊り……。亡くなった直後、検察の方から簡単な説明がありました。精神的なものか身体的なものかは分かりませんが、息子は亡くなる前日、体調が悪かったのだそうです。それで午後から翌10日の午前中まで休みを取った。10日の午後に大事な仕事が控えていたそうです。でも、時間になっても出て来ない。同僚の方の電話もつながらず、自宅を訪ねてもらったら……」

 既に事切れていたという。

「職場での勤務態勢や勤務時間を教えてもらいましたけれど、少なくとも徹夜続きの生活という印象は抱きませんでした。残業はあっても必要な範囲だと思います。ではパワハラがあったかといえば、そういう報告もありません。ひょっとしたら、説明の中で“パワハラ”といったワードが出てくるかと思って聞いてはいたんですが。けっきょく自殺の原因につながるような話はなく、なぜ亡くなったのかが分からないのです」

 遺族に伝えられたのは亡くなった際の状況と、簡単な職場の説明のみ。詳細は知らされていないのである。

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