「河井案里」逮捕の裏側 「捜査担当検事の自死」「男遍歴」「ウグイス嬢との不倫」

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ウグイス嬢と不倫

 他の自民党候補とはケタ違いの軍資金を用立ててもらい、約2千万円のカネをバラ撒いたのが夫の克行前法相である。県議曰く、

「セフレがバレた妻も妻なら、夫も夫なんです。10年ほど前、彼が出た衆院選の期間中のこと。選挙事務所近くのホテルの一室を休憩用に借りていて、ウグイス嬢をそこに連れ込んだとのことです。選挙事務所を手伝っていた克行氏の父親がそれを知って激怒。父子で殴り合い寸前の喧嘩となったそうです。メディア関係者の仲裁で収まったといいます」

 夫妻への捜査の発端はウグイス嬢への違法報酬。そのウグイス嬢に手をつけていたとは……。

「まだあります。彼はテレビ局の女性記者と不倫関係にあったらしく、彼女を口説く際の文句が、“妻の男関係には参っている”“妻とはもはや肉体関係はない”。ところが、ウグイス嬢をホテルではなく車に連れ込んでいたことがその女性記者にバレて、不倫関係は終わったとか……」

 当局にすれば、捜査の過程で判明した“実態は仮面夫婦”という副産物。それでもオシドリ夫婦を装い、参院選では二人で手分けして、地元の県議など100人近くに総額2500万円を超えるカネをハデに配り歩いた。それに買収の疑いがかけられているわけだ。

 一連の捜査はここまで、検察トップの稲田伸夫検事総長の肝煎りで進められた。検事総長人事をめぐり安倍官邸に早期の退任を迫られた軋轢から、稲田総長が官邸と緊密な関係にあった河井夫妻の捜査に執念を燃やしてきた形だが、法務省幹部が言うには、

「検事総長の思いが実り、国会議員2人を立件できるところまでこぎ着けたのはいい。でも何かスッキリしないのです。検察上層部が広島地検の自殺した検事に関する調査をなおざりにしているフシがあります。実は、検事は上司からパワハラと呼べるほどの激しい叱責を受けていたようなのです。亡くなった12月10日の午後は、法廷である事件の論告求刑を読み上げる予定でした。その論告作成にあたって、彼は上司にかなり絞られた。この点について、現場から不満の声がこちらに届いています」

 遺族の予感は的中するのか。案里はそれを知っていたのか。

 最後に、自殺した検事の遺族が涙をたたえて呟いた。

「息子は一生懸命に生きたし、楽しいことも一杯あったでしょう。残されていたメモには意味のあることは書かれていません。パワハラを告発するような書き置きもなく、全部抱えて逝ってしまいました。私がこうしてお話しすることが、河井夫妻への捜査のマイナスになってほしくはありません。万一、問題になるようなパワハラがあったのであれば、それはちゃんと河井夫妻の捜査とは別の形で追及してほしいと思います」

週刊新潮 2020年6月25日号掲載

特集「ついに逮捕でも検事総長を悩ます『河井案里』捜査担当検事の自殺」より

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