いよいよ“実弾”も飛び交い始めた「日本医師会」会長選のむなしさ

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与党が圧力をかけてきた

 コロナ禍の第2波が襲ってきても何らおかしくない中で、他ならぬ日本医師会が会長選挙をしているというのは、なかなか皮肉がきいている。投開票日を6月27日に控え、いよいよ“実弾”が飛び交い始めたという。たとえ札束のやりとりがあったとしても、こちらは公職選挙法違反に問われることもなく、お咎めなし。とはいえ、やっぱりこんな時に選挙なんて……というむなしさがつきまとうのだった。

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 日本医師会(日医)の会長選に出馬を表明しているのは、横倉義武会長(75)と中川俊男副会長(68)の2人。一旦は横倉会長が中川副会長に禅譲を申し出たという話も語られ、何ともきな臭い展開になっているのだ。

 厚労省関係者によると、

「今回横倉さんは、早い段階では出馬するともしないとも明言しなかった。まあ会長って忙しいですし、降ってわいたようなコロナ禍に振り回され、会長選なんて頭の片隅にもなかったんじゃないですか。一方で、中川さんはここ2年、会長選のために支持を取り付けるべく全国を行脚してきたと聞いています。ある意味で偉いとは思いますよ。でも、コロナっていうのはもう国難というか世界が存続するか否かの危機だったわけで……。中川さんは“横倉会長は2度禅譲すると言った”と話して回っているようですが、それは中川さんの出馬を正当化するものにはならないように思いますけどね。『横倉不出馬、中川後任』ということについて、永田町、霞が関を中心に『ノー』の判定を下したってことでしょう」

 事実、「横倉勇退」の一報が流れた後、加藤勝信厚労相や麻生太郎財務相、二階俊博幹事長ら政府与党の面々は、それぞれの人脈で横倉会長に翻意を迫ったという。結果、5選出馬と相成ったわけだ。

「中川さんの背後には、尾崎さんがいるんですよ」

 と、日医の関係者。尾崎さんとは尾崎治夫・東京都医師会長のこと。ちょび髭を生やしたその顔を、このコロナ禍の報道番組で見かけた方も少なくないだろう。

「中川・尾崎連合がスタートダッシュに成功したのは間違いない。“6割の票を押さえた”という話がまことしやかに流れました。まあ、尾崎さんがトップを務める東京に代議員は100人ほどいますし、埼玉県の医師会とも良好な関係を築いていますから、さもありなんという感じはしますね」

 選挙は各都道府県に散らばる代議員の過半数の票を得られるかで決まる。総数は372だ。

「尾崎さんは世代交代を標ぼうしていて、東京都医師会の会合でも、横倉会長の翻意に触れて、“与党が圧力をかけてきたので中川を押す”なんて物騒な発言が飛び出していたそうです。党内の抵抗勢力を旧世代に見立て、“自民党をぶっ壊す”と言って総理総裁になった小泉純一郎さんの手法が浮かびます」

 横倉会長には確かに、多選批判がつきまとう。トランプ大統領より年長の75歳、後期高齢者でもある。抵抗勢力と見なしうるかもしれない。もっとも、そこには過去8年の実績があることも事実だ。たとえば、公的医療保険から病院や診療所に支払われる「診療報酬」。これは2年ごとに改定されるものだ。横倉会長は、過去8年の任期で、常に報酬アップを実現してきた。都内のさる医療法人トップは、「安倍晋三首相など政府与党との人脈のなせる業」で、「横倉政権8年の最大の財産」と評価する。

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