いよいよ“実弾”も飛び交い始めた「日本医師会」会長選のむなしさ

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涙を流して…

「診療報酬は病院経営に直結しますから、ダウン提示は避けたいというのは当たり前。ただ、財務省は診療報酬の規模を縮小したいと手ぐすねを引いている。正直、政治力に乏しい中川さんがトップになれば、財務省は真っ先に診療報酬に手を突っ込むでしょう。国民にとって税金が減るわけではなく、経営に行き詰まった医療法人が少なからず出てきて、医療崩壊につながる可能性だってあります。官邸や政府与党は何かと悪者にされますが、必ずしもすべてそういうわけではない。見えないところでそれなりに根回しをしてきたんですよ」(医療法人トップ)

 また、先の厚労省関係者は、

「中川さんが1期やった後に尾崎さんが会長をやるという密約があると聞いています。ま、それはともかく、中川さんはある県の医師会長の前で、“どうしても(日医の)会長になりたい”と涙を流して、票の取りまとめをお願いしたそうです」
 
 涙や土下座のタイミングとなれば、実弾こと札束が飛び交うのも時間の問題で、

「選挙になれば毎回そうなんですよ。取り締まる法律はないからね」(先の日医関係者)

 中傷合戦もヒートアップしていて、お互いの過去のかすり傷に塩を塗るとか、かさぶたをはがすような話が駆け巡っている。医師なら薬を塗ったり、絆創膏を渡したりするはずだが、選挙となると、どうもそうはいかないようだ。怪文書が複数流れては“そっちが流したんだろう”“さすがにここまでやるかよ”といったやり取りが交わされているという。もっとも、中川氏の“新事業”に関して1つだけ触れておこう。

「中川さんは現在、札幌市内で医療法人を経営していますが、新さっぽろ駅周辺の再開発に絡んで、今ある医療施設を移転増築する形で計画を進めています。7階建ての建物になるとか」(同)

 実際に登記簿謄本を見てみると、4532平方メートルほどの土地を昨年12月25日に中川氏が経営する医療法人が購入している。同日、極度額10億円の根抵当権が設定されている。

「中川さんはこの移転増築に関して、地元の銀行から“50億円を借りた”と話していたことがありました。意気軒高なことですね」(同)

 当の病院のオープン予定は2022年7月。もし会長に当選したとしても、それまでその座にいられるか否かも大事なことなのだろう。ともあれ、加藤厚労相ら関係者は、「近い関係の横倉氏からよくわからない中川氏に代わるのは想像できない……」と不思議なほど異口同音に漏らしているという。

週刊新潮WEB取材班

2020年6月23日掲載

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