新型コロナ対策の「アクリル板」がバカ売れ 異業種も参入でバブルは今後も続く

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3カ月で3万枚

 おかげで、元々アクリルを扱っていなかった、“異業種”も参入している。

「ゴールデンウイーク明けからアクリル板の販売を始めました」

 とは、飲食店向けに椅子やテーブルなどを販売するワークス(本社・大阪)の谷口満社長である。

「接待を伴う飲食店が6月19日から営業再開となりますので、それまでに届けて欲しいというオーダーが多いですね。これまで400枚ほど販売しています。一度に160枚の注文を受けたこともあります。価格は、スタンダードなものが高さ300ミリ、幅600ミリで税込み5000円となっています。うちは家具屋ですからスタンド部分を木製にしています。アクリルのスタンドだと安定が悪いそうです」

 電光掲示板や看板などを製造販売するタテイシ広美社(本社・広島)も、アクリル板を大量に販売した。

「3月中旬からコロナ対策のアクリル板の販売を始めました。価格は5000円から1万円ですが、すでに3万枚以上売れました。」

 と語るのは、立石良典社長。

「最初は病院から注文がありました。最近は学校が多いですね。ある会社からの注文で、一度に1500枚売れたこともあります。イオンなど大型量販店からの注文も多いですね」

 在庫がなくならないのか。

「うちは、透明なアクリルを材料にした横断歩道や高速道路などの道路標識も製造しています。そのため、在庫は大量にあります。まだ、あと3万枚分残っていますよ。他の業者から、在庫を分けてくれと頼まれることもあります。コロナ対策にアクリルが使われているのは、ガラスより軽いし、高い所から落としても割れないからでしょう。塩化ビニールだと、風が吹けば揺れるし、息がかかると曇ってしまう。アクリルは、15年前に比べると生産量は半減しています。それがコロナでこんなに需要が増えるとは思いもしませんでした」(同)

 アクリルを製造するメーカーの大手といえば、先にも触れたように、三菱ケミカル、クラレ、住友化学が知られる。三菱ケミカルはアクリルの原料の生産では世界一のシェアを持つ。実は旭化成もアクリルを生産していたが、今年3月に撤退している。まさかコロナによる特需が起こるとは思ってもみなかったようだ。

「弊社は、アクリルは富山で年間3万トン、中国で2万トン、タイで4万3000トン生産しています」

 と解説するのは、三菱ケミカルの広報担当者。

「アクリルは3月下旬から需要が増え、4月中旬から加速度的に増えています。4月は対前年同月比で150%増、5月は250%増、6月も5月と同じくらいで推移しています。生産量を30%増やしたため、工場はフル稼働して生産している状態です」

 特需が起こる以前、アクリルの需要は減っていたという。

「アクリル板は、パソコンの導光板に使われていました。ところが10年前から導光板がLEDバックライト方式になり、アクリルが使われなくなってしまった。これで需要が大幅に減りました。さらに、米中貿易戦争で両国が自動車などの輸出品に25%の追加関税をかけたため自動車の生産が減り、ブレーキランプのコーティングに使われるアクリルの需要が減りました」

 今後、アクリルの需要はまだ増えるという。

「大手企業からは、何千枚という注文があります。最近はテレビ局でも飛沫拡散防止のためアクリル板が採用されるようになりました。欧米では電車や飛行機の座席にまでアクリル板を設置しています。日本より需要が拡大していますね。コロナワクチンが開発されるまで、まだしばらくかかると思われますので、今後も必要とされるとみています」

週刊新潮WEB取材班

2020年6月18日掲載

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