「日本医師会」はコロナ対策よりも権力闘争 なぜ会長選を今やるのか

国内 社会

  • ブックマーク

Advertisement

費用は4千万円

 さる厚労族議員が言う。

「会長職を4期も務めれば、政界と距離が近づくのは当たり前で、プラス改定の実績をあげてきた。総理とも電話で話せる間柄ですし」

 結果的には周囲に推され、横倉会長も出馬表明。副会長と一騎打ちとなり、会長選は6月27日に投開票されることとなった。全国372名の代議員が上京し、日本医師会館で無記名の投票が行われるのだ。

「選挙になると、両陣営に選対事務所ができる。支援する都道府県医師会の先生が手分けして代議員に支援をお願いするのです」(同)

 代議員の上京のための交通費などは医師会が負担し、選挙にかかる費用は実に4千万円に上るという。

「今は第2波への準備を進める時期。選挙なんてしている場合ではないでしょ」

 と、この族議員が呆れれば、元厚労相でもあった舛添要一氏も突き放す。

「日本医師会はある種、既得権益を守る集団。開業医の儲けが減らぬよう、医者が増えることに反対してきました。むしろ選挙をして、“こんな時に”と批判されればいい。医師会の病理が浮き彫りになりますから」

 医師会はこの間、医療崩壊を防ぐため、発信を続けてきたが、今回の会長選でその現場には余計な負担やコストがかかる。今までの活動も虚しく見えよう。

 当の中川副会長に電話すると、

「俺の出番じゃないかと思ったんだ。穏やかにやりますよ、穏やかに」

 非常時であっても尽きない権力欲。いや、非常時だからこそ、だろうか。

週刊新潮 2020年6月11日号掲載

特集「逆襲の『コロナ』」より

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。