【コロナ禍】マスク着用でこの夏をどう乗り切るか……専門家が教える“命を守る3か条”

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熱中症で死亡するリスクも

 猛暑でもマスク――多くの人にとって、今年の夏は人生初の経験になるのは間違いないだろう。地上波テレビの報道・情報番組でも、夏場のマスクによる新型コロナの感染予防効果と、熱中症のリスクについて解説する場面が増えている。改めて専門家に留意点などを訊いた。

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 そもそもマスクの予防効果について、世界保健機関(WHO)でも見解は迷走した。ご記憶の方も多いだろうが、当初は「必要ない」と呼びかけていたのだ。

 念のため、東京新聞が3月2日に報じた「新型コロナ 『感染予防にマスク不要』 WHO指針手洗い『最も効果的』」から引用させていただく(註:デイリー新潮の表記法に合わせた、以下同)。

《WHOで緊急事態対応を統括するライアン氏も28日の記者会見で「マスクをしていないからといって、感染の可能性が必ずしも上がるわけではない」と強調。安心感を得たいとの気持ちは理解できるとして「マスクをする人を批判するわけではない」とした上で、手洗いの励行や、顔や目をむやみに手で触らないといった衛生上の注意点を守ることこそが「最も効果的だ」と言明した》

 ところが、記事に登場する《ライアン氏》は、4月に入ると上の発言を微妙に修正してしまう。

 産経新聞が4月4日に報じた「新型コロナ マスク着用、一定の効用」(註:記事は共同通信が作成)の全文を引用させていただこう。

《世界保健機関(WHO)で緊急事態対応を統括するライアン氏は3日、新型コロナウイルスの感染予防目的で一般市民がマスクを着用しても効果は薄いとする一方で、「患者が着用すれば他人に感染させる可能性は低くなる」と述べ、感染拡大防止に一定の効用は見込めると改めて指摘した。

 WHOは、飛沫(ひまつ)感染を防ぐために、熱やせきなどを発症した患者と感染者を自宅で看病する家族に対してのみ、マスク着用を推奨してきた。

 ライアン氏は記者会見で「鼻や口を覆うことで、せきやくしゃみ(による飛沫)が周囲にまき散らされるのを防ぐことは、悪くない考え方だ」と説明した》

 聖路加国際大学の大西一成准准教授は専門が公衆衛生学。PM2・5の研究を重ねるうちに、マスクの効用についても調べる必要を感じ、独自の調査を重ねてきた。

 大西准教授はWHOの見解が“迷走”したことについて、「感染防止と感染拡大防止の観点の違いで生じているもの」だとし、その上で「ある医学論文を無批判に引用してしまったためでしょう」と指摘する。

「それらの論文はインフルエンザウイルスの感染予防にマスクが有効か調査し、最終的には感染防止に『効果がない』と結論づけたものです。科学的根拠の高い論文と評価されているため、WHOの中でも影響力があったのでしょう。ところが、これらの論文について少なくとも私は、以前から実験の設計に問題があると考えていました」

 例えば、被験者の医療関係者が自宅でマスクを外した時の感染リスクを考慮していないことや、正しくマスクが着用されていたかのコントロールがされていないことが挙げられるという。

「このことは、論文の筆者らも『研究の限界』として把握しておりますし、徹底的にマスクの有効性が調査されていない中で、『効果がない』と断言できるのか、大きな疑問を持っていたのです。一方で、感染予防に『効果がある』という科学的根拠についても、このような限界があるがゆえに、臨床試験で確実に証明することを困難にしているのです」(同・大西准教授)

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