【コロナ禍】マスク着用でこの夏をどう乗り切るか……専門家が教える“命を守る3か条”

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マスクは必要で、なおかつ不必要!?

 WHOが迷走した原因には、そもそもマスク不足がある。その上で大西准教授は「マスクの扱い方の二面性」という言葉で表現する。

 新型コロナの感染をマスクによって完全に予防できていない事実もあり、マスクを着用することで感染リスクが下がる事実もある————素人にとっては、なかなか理解しづらい話なのだ。

 大西准教授は2014年、ドラッグストアやコンビニなどで購入した「衛生マスク」を225人に装着してもらい、どれだけ外部の粒子がマスク内に侵入してくるのかを調査した。

 結果は126人が「漏れ率100%」を記録、平均でも漏れ率86.3%に達した。要するにマスクを付けていても、付けていないのと、さほど変わらないのだ。

 この「漏れ率」とは、空気中の粒子とマスク内の粒子の個数を計測し、マスク内への粒子の入り込み率を算出したものだ。

 そこで、着用方法を指導し付け直して計測すると、マスク個体差、個人差こそあるが、漏れ率が80%〜10%まで向上した。

 現在でも、マスクを着けている多くの人が、新型コロナウイルスの侵入を予防できていないことは明白だ。ならばマスクは無意味かというと、それも違う。

「マスクには、自分の排出した飛沫を周囲に拡散するのを防ぐ機能があります。マスクを装着することで鼻や喉が保湿され、感染しやすい乾燥状態から守られます。また、たとえ漏れ率が86.3%だとしても、除去率は13.7%存在し、中には除去率が半分以上の人もいます。マスクを着けることで、少しでも感染リスクが減少する方向へ働いているということも、やはり事実なのです」(同・大西准教授)

 市販されているマスクの中には「ウイルス、飛沫、花粉を99%カット」と表記されているのもある。

 単純に「漏れ率が1%なのか」と期待してしまうが、大西准教授の調査結果とは明確に異なる。だが、誇大広告なのかと言えば、それも違う。

 マスクのフィルター自体が持つ性能試験の結果は表記の通りなのだ。あくまで着用時に顔面にフィットしないことで漏れ率が高くなってしまうのが問題だという。

 髪の毛1本————その直径は、わずか約80μm(マイクロメートル)————をマスクと顔の間に挟んだだけでも、ウイルス飛沫の約800倍という“巨大な”隙間が空いていることになるのだ。

 布マスク(織布)に至っては繊維の目が格子状で粗く、顔との隙間も大きいため、マスクを重ねても新型コロナウイルスは容易に通過する。

 従来であれば「全く効果がない」代物なのだが、現在のようにマスク不足でウイルスが蔓延している状況だと、評価も変わってくる。

「たとえ布マスクでも、大きな飛沫が飛ぶのを防ぐことはできますし、鼻や喉の保湿・保護の効果は期待できます。東京都のように非常事態宣言が出ている自治体であれば、何もつけていない状態と比較すると、布マスクでも着用したほうが、感染拡大防止の効果が期待できます。現在も世界中で、依然として感染が拡大している非常事態です。継続してマスクの着用は推奨されるべきでしょう。また、ウイルスが付着しているマスクを不適切に扱うことによる感染拡大のリスクも知っておく必要があります。今からでも1人1人がマスクを正しく扱い運用できるように啓発し、少しでもマスクの効果を活かして自分たちの命を守る教育へ向かうべきです」(同・大西准教授)

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