【コロナ禍】マスク着用でこの夏をどう乗り切るか……専門家が教える“命を守る3か条”

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猛暑でも感染リスクは存在

 猛暑になればなるほど、紫外線の量は増える。夏場に新型コロナウイルスを死滅させる効果が期待されているが、それでも大西准教授は「基本的にマスクを着用したほうがいいと思います」とアドバイスする。

「紫外線によってウイルスの死滅量が絶対的に増えるのは間違いないでしょう。とはいえ、新型コロナウイルスは夏場でも感染力を維持する可能性があると考えられています。また、オフィスの中で無症状感染者がコピー機のボタンに触り、次に同じボタンを押した人に感染してしまうリスクは、季節を問わず一定でしょう。たとえ記録的な猛暑であっても、感染リスクの減少を過度に期待すべきではありません。今夏はマスクが必要だと思います」

 その一方で、夏場のマスクが熱中症のリスクを増加させてしまうことには、最大限の注意を払う必要があるという。

「どれだけリスクを高めに見積もっても、充分ということはないと思います。普通なら、体温より確実に低い外気を吸い吐き出すことでも、私たちは体温調節を行っています。ところがマスクを着用していると、マスク内部に暖気がこもり放熱効果が低くなります。体温調整が困難となり、体温が上昇し、熱中症のリスクが高まるのです」(同・大西准教授)

 NHKのニュースサイトNHK NEWS WEBは5月12日、「中国 体育の授業で『N95』マスク禁止へ 新型コロナ」と報じた。

《中国で新型コロナウイルスの感染を防ぐため、マスクをつけて体育の授業を受けていた中学生が死亡する事故が相次いだことを受けて、中国の教育当局は、体育の授業では「N95」と呼ばれる医療用の高性能マスクをつけることを禁止する方針を示しました》

 詳細が報道されていないため不明な点が多いが、そもそも炎天下での運動は当然ながら、マスクの着用、非着用に関わらず熱中症のリスクがある。大西教授が続ける。

「緊急事態宣言が解除された自治体で、ウイルス曝露と高熱曝露の機会を比較すると、新型コロナウイルスの感染リスクより、熱中症のリスクが上回るケースも想定されます。例えば、夏の日中に公園でジョギングを行う場合は、熱中症リスクが高まることを念頭に、マスクを外した方が良いわけです。いずれにしても、ご自身の体調やソーシャルディスタンシング(人的距離)確保を踏まえた上で判断を下していただくことになるでしょう」

 産業用マスクには、高い防塵(ぼうじん)性と通気性により、熱中症や息苦しさに配慮した製品もある。「フィルター取替式ブロワー付防塵マスク」と呼ばれるものだ。

 例えばAmazonで検索してみると、「興研 全面形ブロワーマスク BL-700HA型」が表示される。

 商品の写真を見てみると、防毒マスクのような外観に、口の部分に小型の電動ファンのようなものが装着されている。とてもではないが、一般の人々が日常生活で使用するマスクではない。

 通常は作業現場など、粉塵などに晒される環境で働く作業員などの健康を確保するために使用されているという。

 ところが現在は新型コロナの感染拡大で、世界中で、この「ブロワー式防塵マスク」を確保しようと争奪戦が展開されており、極端な品不足が続いているという。

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