「日本は中国批判声明に参加拒否」報道の波紋 安倍政権が“弱腰”なのは紛れもない事実

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一部の自民党議員は反論

 共同通信(電子版)が6月7日、「日本、中国批判声明に参加拒否 香港安全法巡り、欧米は失望も」の記事を配信すると、たちまちネット上は大騒ぎになった。

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 SNSなどの書き込みをご紹介する前に、報道内容を確認しておこう。まず記事のクレジットだが、《ワシントン共同》となっている。

 また文中には《6日分かった》との一文があり、共同通信はスクープ記事と位置づけている可能性がある。以上の2点を踏まえていただき、記事の一部を引用しよう。

《香港への国家安全法制の導入を巡り、中国を厳しく批判する米国や英国などの共同声明に日本政府も参加を打診されたが、拒否していたことが6日分かった。複数の関係国当局者が明らかにした》

“ニュースソース”は《複数の関係国当局者》とされている。文中にある《米国や英国》などの関係者ということだろう。《ワシントン共同》のクレジットと整合性はある。

 なぜ日本は参加を見送ったのか。共同通信の記事は「中国に“忖度”した」と指摘している。

《新型コロナの感染拡大などで当面見合わせとなった中国の習近平国家主席の国賓訪日実現に向け、中国を過度に刺激するのを回避する狙いがあるとみられる》

 AFP通信が運営する日本語ニュースサイト「AFPBB News」が5月29日に配信した「香港への国家安全法導入は国際公約違反、英米など4か国が共同声明」の一部をご覧いただこう。

《英、米、カナダ、オーストラリアの4か国は28日、中国が香港に「国家安全法」を導入する方針を決定したことについて共同声明を発表し、国際公約に真っ向から違反すると主張した》

《4か国は声明で、「香港に新たな国家安全法を導入するという中国の決定は、法的拘束力を持ち、国連(UN)にも登録されている英中共同声明に基づく国際的な義務に直接抵触する」と指摘した》

 だが共同通信の記事に対し、一部の自民党議員は、ツイッターで「虚報」などと反論している。その中に「外務省は香港問題で中国に抗議している」との指摘がある。

 この事実も外務省の公式サイトに記載されている。秋葉剛男・外務事務次官(61)が5月28日、孔鉉佑・駐日中国大使(60)に対し、香港情勢について《申し入れ》を行ったとの報道発表だ。内容は以下の2点だったという。

《我が国は,今般,全国人民代表大会において,香港特別行政区に関する議決が,国際社会や香港市民が強く懸念する中でなされたこと及びそれに関連する香港の情勢を深く憂慮している》

《香港は,我が国にとって緊密な経済関係及び人的交流を有する極めて重要なパートナーであり,「一国二制度」の下に,従来の自由で開かれた体制が維持され,民主的,安定的に発展していくことが重要であるというのが我が国の一貫した方針である》

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