加藤厚労相は困惑「都知事選」の100倍面白い「日本医師会」会長選“なんでこんな時に”感

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これはもうディストピア

 その1つである東京新聞の報道をざっと見ておくと、

《日医関係者によると、後継には会長選出馬に意欲を見せている中川俊男副会長(68)を指名する見通し。中川氏は北海道出身で、札幌医科大卒。専門は脳神経外科。日医の常任理事を経て、2010年から副会長を務めている。横倉氏は安倍首相や麻生財務相ら政権中枢との太いパイプを生かし、社会保障財源が厳しさを増す中、診療報酬改定では本体部分のプラス改定を勝ち取ってきた》

 しかし、横倉会長は6月1日に「5選出馬」を正式に表明した。この間、何があったのか?

 永田町関係者によると、

「『横倉引退』の一報は一気に政界に拡がって、みながショックを受けました。加藤さん(勝信厚労相)は“コロナ禍だけに良くない。この時期だからこそ先頭に立ってやってもらいたいのに”と漏らしていたほど。これを裏返せば、その後継候補とされている中川さんの評判が芳しくないんです。中川さん自身は、一代で北海道の病院を築いたいわばたたき上げの社長タイプ。それが悪いってことは全くないんですが、各方面に嫌われていますね(笑)。ある大臣と面会した後に、“あの人よりも自分の方が考えていることのレベルは高い”など、ポロっとこぼしてしまうタイプで、ヴィジョンがあるわけでもなければ、自分より目立つ人のことも好きじゃない。“横倉は求心力の人、中川は遠心力の人”とたとえられるゆえんです」

「13期25年も務めた武見太郎には及ばないものの、5選ともなれば多選批判、そして75歳の高齢批判も免れないとは思います。ただ、それも真っ当な候補者がいてこそだし、あとタイミングですよね。こんなコロナ禍でバタバタしまくっている時に、なんで内ゲバみたいなことになっているのか……。国民の理解はなかなか得られないですよね」

「それでも横倉さんが引退を踏みとどまって出馬表明したのは、それこそ各方面から説得を受けたからです。はやり言葉ではないですが、それこそ余人をもって代えがたいと……。かねて日医は『欲張り村』などと言われ、会長はその村長と蔑称されたこともしばしば。横倉さんはやっと国民目線の人だなと評価されていたのに、また欲張り村に戻るとなると、これはもうディストピアですね」

 日医の選挙は6月1日に公示された。17日に立候補者の締め切り、27日に投開票を迎える予定となっている。各都道府県に散らばる代議員の総数は372。横倉氏が現在の劣勢を挽回できるか、そのまま中川氏が差すか、あるいは……。

週刊新潮WEB取材班

2020年6月2日掲載

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