コロナ禍で宗教法人に給付金はおかしくないか これだけの問題点

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東日本大震災でも…

 そもそも宗教法人に「コロナ補償」を行う必要があるのか。

 2011年の東日本大震災では、多数の寺社や教会も倒壊、破損する大被害を受けた(と報道された)。ところが、再建にあたっては、建物や構造物など文化財指定修理を除けば、宗教法人は、国から「ビタ一文」も補助金や給付金を受け取ら(れ)なかった。公的助成の不備を申し立てる宗教者は、ごく一部だったのだ。

 当時、一部のメディアは「倒壊(全壊)などした寺社が再建しようにも政教分離の建前から、資金の手当てがつかない」と、大々的な報道に及んだ。しかし実際のところ、全壊や大規模倒壊の被害を受けた宗教施設は、全体の7%にも満たなかったという統計がある(文化庁『東日本大震災における宗教法の復興状況に関する調査報告書=2014年=青森から千葉まで東北関東8県が対象)。加えて調査時点で「再建工事完了法人」は、4割。ほぼ同比率で「被害無し」の回答があり、被害を受けた施設のうち「未着手」や「再建しない」の回答比率は12%程度だった。

 念のため再建資金の出所(複数回答)を記せば、自己資金や法人代表などの個人資金が約70%。信者寄附が35%で、保険金を使ったのは26%だった。つまり、東日本大震災で大小問わずの被害を受けた宗教施設は全体の約半分であり、そのほとんどが、公的資金を受けずに立ち直ったと数字的には言えることになる。

 たしかに再建費用調達の目途がつかず、取り壊されてしまった施設はある。その点だけを強調するから、「お気の毒」に映るが、東日本震災規模の災害でさえこうなのだ。では今回はどうなのか? 震災時のように宗教施設は建物が壊れたわけでもなければ、関係者が避難しているわけでもない。特定地域ないし特別警戒地域内に所在して、「宗教行事の自粛」を求められたケースは希有だ。むしろ自粛要請の対象外とされているのがほとんどだ。

 にもかかわらず、コロナ禍で収入が減ったと申告すれば、公金が投じられるのだ。

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