コロナ患者激増のブラジル「ボルソナロ大統領」 放送禁止用語連発の閣議ビデオに国民は騒然

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凄まじいブラジルの感染拡大

 その結果は、時事通信(電子版)が5月23日に掲載した「新型コロナ感染者数、ブラジルが世界で2番目に 1日で2万人増え33万人」からご紹介しよう。

《ブラジル保健省は22日、新型コロナウイルスの感染者の累計が33万890人、死者は2万1048人になったと発表した。感染者数は1日で2万803人増え、ロシアを抜いて米国に次ぐ人数となった。死者数は前日から1001人の増加》

 念のため言っておくと、この頃はブラジルとロシアの間で、感染者数を巡って激しい“2位争い”を繰り広げていた。

 時差の関係で、2位と3位が入れ替わるという状況が続いていたことは注目に値する。とはいえ、ブラジルの場合は“人災”の側面は強いと言わざるを得ない。

 やりたい放題のボルソナロ大統領だが、さすがに有権者も堪忍袋の緒が切れたようだ。ブラジル在住の日本人ジャーナリストが解説する。

「詳しい経緯は後回しにしますが、ブラジルの最高裁は5月22日、4月22日の閣議内容を収録したビデオの公開を命じました。日本と同じように、ブラジルでも閣議は非公開となっていますが、資料用に広報担当部局が録画を行っています。普段なら部外秘の動画が情報開示の対象となったわけです。その結果、ボルソナロ大統領と閣僚の会話が公になったのですが、これが凄まじい内容で、ブラジルのメディアは連日、この問題を大々的に報じています」

 まずブラジル国民が驚いたのが、大統領以下、閣僚の大半が卑語をふんだんに使っていたことだ。

 大統領が政敵を《排せつ物や肥料を意味する言葉》(共同通信の報道より)で罵るのは、まだ穏健なほうだ。テレビ局のニュース番組が動画を放送すると、放送禁止用語のため“ピー音”が連発。何が話題になっているのかさえ分からない場面もあるという。

「ある程度は大統領の暴言には慣れていたブラジル国民も、『閣僚も、こんな言葉づかいで喋っていたのか』とショックを受けています。というのも、彼らは記者会見などでは、普通の言葉で語っていたからです。いわば化けの皮が剥がれた、ということでしょうか」(同・ジャーナリスト)

 ジャーナリスト氏によると、物議を醸しているのは、主に3点あるという。

「新型コロナに関連する問題発言は2点ありました。1点目は環境大臣が『メディアが新型コロナのことしか報じていない今がチャンス』と、世界的に反論の多いアマゾンの熱帯雨林地区の開発を進めるべきと主張した場面でした。2点目は人権担当大臣が『新型コロナ対策で都市封鎖などの政策を行えば、逆に人権の侵害になる』と発言した場面です」

 ブラジルでは州知事がロックダウンを実施し、それをボルソナロ大統領が批判するという事態が続いている。

 人権担当大臣の発言は、大統領だけでなく閣内にも封鎖反対派が存在することを浮き彫りにした。ブラジル国民の多くが感染拡大を危惧していることから、大臣の発言が問題視されたのだ。

 そしてブラジル国民が最も問題視しているのが、司法・警察の人事に対し、ボルソナロ大統領が不当な介入を行った疑惑が浮上したことだ。

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