コロナ患者激増のブラジル「ボルソナロ大統領」 放送禁止用語連発の閣議ビデオに国民は騒然

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トンデモ発言の連発

 ブラジルのジャイール・メシアス・ボルソナーロ大統領(65)は最近、日本でも知名度が一気に増している。新型コロナウイルスに関するトンデモ発言の連発が、衝撃を与えているからだ。

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 ボルソナーロ大統領は1991年、下院議員選挙に当選すると、「極右」とも評される政治的スタンスを積極的に表明した。

 議員時代から暴言は日常茶飯事。ついたあだ名が「ブラジルのトランプ」というのはご存知の通りだ。

 これまでのトンデモ発言を以下に――これでも、ほんの一部なのだが――ご紹介しよう。

「独裁者が犯した過ちは拷問にかけたことではなく、殺してしまわなかったことだ」
「ブラジルは独裁政権下で腐敗した3万人を射殺しておけば、随分、国家のプラスになっていた」
「私は息子が同性愛者なら愛することはできないだろう。私は偽善者にはなれない。息子が髭をはやした男と一緒になるぐらいなら、事故で死んだ方がましだ」

 以上の3つは、在英国際ジャーナリストの木村正人氏が2018年10月、YAHOO!ニュース個人に掲載した「『息子が同性愛者なら事故で死んだ方がまし』『労働党は撃ち殺せ』過激発言『ブラジルのトランプ』大統領に」の記事で紹介したものだ。

 ニューズウィーク日本版(電子版)が今年1月18日に掲載した「ボルソナロ(ブラジル大統領)の成績表:差別発言を連発する『問題児』、アマゾン森林火災で世界を敵に」の記事には、「女の給料は男より低くするべき。妊娠するから」という発言も伝えている。

 こんな大統領がコロナ禍に直面し、「経済を優先するため、都市封鎖などの規制は一切、行わない」という政策を採っているのだ。

 ブラジルだが、一応は国民皆保険の実施を掲げている。また都市の中には新型コロナによる医療崩壊を食い止めるなど、一部では“善戦”しているという見方もある。

 とはいえ、アマゾン川流域など、ブラジルには従来から医療基盤が脆弱な地域が少なくない。都市部にも「ファヴェーラ」と呼ばれるスラム・貧民街が存在する。新型コロナが貧困層を直撃するのは、アメリカの例を見ても明らかだ。

 最新の感染状況をご紹介する前に、まずはボルソナロ大統領の信じがたい発言をメディアの報道から引用させていただこう。

「人々が自動車事故で命を落とすからといって、自動車製造工場を閉鎖することはできない」
「私たちのうち90%は、新型ウイルスに感染しても症状が現れない」
「新型コロナウイルスは、軽いインフルエンザか、ただの風邪程度だ。マスコミは、各国の事例を最大限に言いはやし恐怖をあおっている」
「新型コロナウイルスには(国民の)70%が感染する。どうすることもできない」
「(死者が5000人を超えたことについて)それで? 残念なことだ。でも私にどうしろというのか」
「悲しい状況だ。多くは高齢者だが、愛する者を失った家族に同情する。でもこれが人生、あすはわが身だ」
(註:出典は記事文末に記載。引用に際してデイリー新潮の表記法に合わせた。以下同)

 これでは有権者だけでなく、閣内からも異論が出て当然だ。しかし、外出禁止や商業活動の自粛など、常識的な対策を主張する保健相を2人更迭。軍人を暫定保健相に任命した。

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