コロナ撲滅へ期待! ノーベル賞・大村教授のイベルメクチン ご本人も太鼓判

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 およそ40年前につくられた薬に、ふたたび注目が集まっている。2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智・北里大特別栄誉教授が開発し、全世界で毎年約3億人が服用しているという「イベルメクチン」に、コロナ撲滅への大いなる期待がかかっているのだ。

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 日本感染症学会の専門医で、東京歯科大学市川総合病院の寺嶋毅教授(呼吸器内科)が言う。

「コロナウイルスの治療薬の有力候補であるアビガンは、軽症から中等症にしか効果が期待できず、レムデシビルは副作用の問題があって重症患者への投与に限定されている。いま、最もオールマイティに効果が期待できるのは大村先生の発見・開発した抗寄生虫薬のイベルメクチンなのです」

 むろん、すでに実証済みで、

「豪州モナーシュ大学の実験では、試験管内のコロナウイルスにイベルメクチンを投与したところ、24時間で千分の1、48時間だと5千分の1まで減少しました。また、臨床現場でもおよそ700人の患者さんに投与した結果、投与していない方に比べて致死率が6分の1まで減少したという米ユタ大学の報告もあります。重症者にも効果があり、呼吸器を使っている方の死亡率も21%から7%にまで減少しています」

 イベルメクチンは現在、日本でも疥癬の治療に用いられているのだが、

「大村先生は伊豆で採取した土から成分を抽出していて、寄生虫だけに効くようピンポイントに設計されていないからこそ、無限の可能性があるのだと思います」

ビタミン剤のように

 こうした中、今月6日に北里大は、コロナウイルスの治療薬としてイベルメクチンの承認を目指す治験を実施すると発表した。

「“効果あり”と聞いて、私は少しも驚きませんでした」

 とは、当の大村特別栄誉教授である。

「というのも、イベルメクチンは『マクロライド系抗生物質』に分類され、この薬は第2・第3の作用を持つことが多いのです。例えば風邪の時などに処方される『エリスロマイシン』は、モチリンという消化を助けるホルモンと同様の作用も持っています。そもそもイベルメクチンは、細胞レベルの実験ではデング熱や日本脳炎、HIVなどのウイルスに有効だということが以前から分かっていました。抗がん作用もあるという報告もあるほどで、まさしく“ミラクルドラッグ”なのです」

 そう太鼓判を押すのだ。

「アビガンやレムデシビルは、残念ながら重篤な副作用が報告されています。一方でイベルメクチンは、アフリカなどで年間約3億人に使われて失明を防いでいますが、いまだ重い副作用の報告はありません」

 その安全性ゆえ、以下のような処方がなされているというのだ。

「アフリカの村では、人々にイベルメクチンを渡すのは医者ではありません。年に1度、簡単な講習を受けた代表者のもとに薬が届けられ、その人がボランティアで配るのです。村人の体重が測れなくても、背の高さから何錠飲むかを判断して配る。例えればビタミン剤を飲むような感覚で、世界中で多くの人が手軽に飲めるという安全性は今後、非常に重要になってくると思います」

 肝心の分量についても、

「アビガンは200ミリグラムの錠剤を一度に何錠も、そして何日間も飲まねばなりませんが、イベルメクチンは1錠わずか3ミリグラム。体重50キロの人で、大体1回3~4錠を飲めばいいのです。現在、北里大は臨床実験の山岡邦宏教授、基礎研究の花木秀明・感染制御研究センター長をそれぞれリーダーとして治療薬の研究に取り組んでいます。希望する患者さんへの治験も進め、ぜひ承認にこぎ着けたいところです」

“生みの親”として、薬の活躍を心待ちにしているというのだ。

週刊新潮 2020年5月21日号掲載

特集「『コロナ』見えすぎる敵」より

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