【コロナ禍】ラブホ経営A子さんの告白 旅館業の免許なのに融資はNGなワケ

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極めて曖昧な基準

 A子さんは、合わせて3億円ほどの融資を検討していた。

「営業中止に追い込まれているところが多い中で、営業できているだけマシだというご指摘はあるかもしれません。ただ、ラブホと言われるビジネスでは、通常の銀行からは融資がおりず、リース会社などから高い金利で融資を受けています。そのため、セーフティネットも使えません」

 金利は3%を超えるというから、通常の公庫の金利とは格段の差がある。

「リスケ(当面の返済額を減らしてもらうこと)に応じると言われたところもあれば、“どんな感じですか?”って聞かれるだけで、お目こぼしはなさそうな会社も。弱みを見せたら、“売り上げ悪くなるならラブホ売却して返却してもらう”とか“融資引き上げたい”と言ってきかねませんから、悩ましいところです。その心配もあって、政府系の金融機関から借りた方がいいわけですが、それがままならない業種もあるんですよ」

「パートもシフトを減らすようにしてます。物件を購入・改装した時の借入金、固定資産税、業者への支払い、人件費があるので、これが続けば資金繰りが悪化します。従業員を100人近く解雇しなければならなくなります」

 A子さんの会社の顧問弁護士はこんな風に言っていたという。

〈最初から分かり易い定義で、この業態はダメというならまだしも、です。旅館業には融資するとしながら、旅館業の許可に基づく営業を行っているホテルに、「風俗系の営業」という極めて曖昧な独自の基準を持ち出して融資しないというのは不当です〉

 再び、A子さんの話。

「ラブホは反社ではなく、女子会も開かれる場所で、インバウンド需要もあります。それにウチは……繰り返しになりますが、保健所から旅館業の免許を持って営業しています。融資対象業種に『旅館業』としておきながら、融資を受け付けないとはどういうことでしょうか」

「先日、水商売の休業補償について、“職業差別はしない”と政府は見解を示しました。また、風営法(の免許を)持ってるパチンコ業者は公的融資の対象になるという報道がありました。政府の支援と言っておきながら、それを受けられない業種もあるということを政府にも伝えたいです」

週刊新潮WEB取材班

2020年4月29日掲載

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