すしざんまい社長に3億円トラブル ロシアビジネスめぐり…告発者語る

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「寿司外交」

「私は20年前にロシアから留学生として来日し、日本語を学びました。2018年9月に喜代村の求人募集に応募、面接を経て入社しました。翌月、木村社長からサハリンで現地法人を作りたいので、代表になるよう言われたのです」

 現地では収穫されたウニの殻を剥き、袋に詰めて日本へ空輸していたという。

「ところが、昨年秋頃に会社側から品質が悪いのでお金を払えない、工場を閉めて帰国せよと命じられた。急には無理なので、ひとまず現地法人の人間に運営を任せて私は帰国。木村社長と話し合いをしましたが、未払い分は払ってくれない。今後は日本で裁判を行うつもりです」

 過去にも、木村社長は情報誌のインタビューで、18年にロシアを訪問してメドベージェフ首相(当時)にマグロを食べて貰ったと明かしている。独自の「寿司外交」を展開し、ロシアへのチェーン進出などの意欲も滲ませていたのである。

 高級な寿司ダネを、安く消費者に届けようと急ぐあまり、無理が生じたのか。

 改めて、喜代村の広報担当者に確認すると、

「認識の相違があって、弁護士を通じてこちらから債務根拠の提示を求めたところ、提示されずに(ロシア人側の)弁護士が辞任をしておりました。本件については、追って法的手段をとるべく準備中です」

 もはや両者とも一歩も引かず法廷の場で争う構え。ただでさえ商慣習が複雑で、一筋縄ではいかないと言われるロシアビジネス。さすがの「マグロ大王」も、ウニには悪戦苦闘のご様子だ。

週刊新潮 2020年4月16日号掲載

ワイド特集「ファミリーの掟」より

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