コロナ休校延長、学力格差が広がる不安 11年前のインフル流行時は…

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浪人が圧倒的に有利

 現に、2009年に新型インフルエンザが流行したときも、学力差は開いたと語るのは、駿台教育研究所進学情報事業部長の石原賢一氏である。

「あの年はGW明けに2週間程度、京阪神の学校が休校しましたが、8月ごろまでの模試で、京阪神の生徒の成績が、ほかの地域にくらべて極端に悪かった。6月に行われた駿台全国模試では、第1志望が東大で合格可能性60%以上と判定された人の地区別占有率が、近畿、中国、九州と、インフルエンザが流行った地域で落ちました。8月の東大入試実戦模試でも、成績上位者の地区別占有率は、東京の割合が対前年比1・3ポイント上昇したのに対し、近畿は1ポイント下落。現役のみのデータではさらに顕著で、東京は5・9ポイント上昇し、近畿は1・9ポイント下落。九州も1・7ポイント下がり、明らかにインフルエンザの影響で、学校が開いていないと学習は遅れるんです」

 むろん、今回は11年前の比ではない。

「学習への動機づけもできないまま休校になってしまったので、授業をいつ再開できるかで、地域間の差がかなりつくでしょう。しかし、6年のスパンでカリキュラムを組むため余裕があり、進度も速い中高一貫校は影響が少なく、首都圏と関西圏の公立高校が最も影響を受けると思います」

 のちに塾で補えばよいかというと、そうではなく、

「塾や予備校のカリキュラムは、高校での履修を前提に組み立てられていて、未履修部分の講義をしてくれるところはありません」

 そうであれば、自学自習が得意な生徒は成績を伸ばし、勉強の苦手な子は、さらに苦手になる。また、今年度の大学受験は、

「圧倒的に浪人が有利になるでしょうね。準備が遅れる現役に対し、浪人は一度入試を受けたうえで準備していますからね」

 この学年に生まれた不幸を嘆く若者が続出、という結果になりかねない。

週刊新潮 2020年4月16日号掲載

特集「『緊急事態宣言』を生きる」より

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