売れっ子ホステスの告白 「夜の街」がコロナまみれになったワケ
小池百合子都知事が、「若者の皆様にはカラオケ・ライブハウス、中高年の皆様には、バーやナイトクラブなど、接待を伴います飲食店などに、当面控え、自粛をして頂きたい」
と会見で話したのは3月30日のこと。これを機に一時閉店を選ぶ店が急増したが……。
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「現在、コロナ陽性反応は男性スタッフで10名超。幹部は軒並みやられていて、中には重症者も。お客様も当然複数かかっていて、亡くなられた方もいらっしゃいます。その他、高熱、味覚異常、咳の症状だけなら、相当な数の関係者が訴えている状況です」
と話すのは、東京でホステス稼業10年のAママ(31)。月の売り上げ2000万円強の彼女が勤務する具体的な街・店の名は明かせないのだが、グループで全5店を擁し、ホステスとスタッフを合わせて100人ほどの在籍者がいるよく知られた店だ。グループ人員の10%強がコロナ陽性とは、相当な数字。『密閉』『密集』『密接』の『3密』は感染リスクが高いことを図らずも証明してしまった恰好だ。
差し当たってグループ全体は休業中だが、Aママは店側の対応に大いに不信感を抱いてきた。
「小池さんの『自粛』発言よりも随分前から、私たちの“職場”はコロナまみれだったんです。2月後半から男性スタッフ、女性の間から“高熱が出た”という連絡が相次ぎ、店を1~2週間休む者が出てくるようになりました」
「その後も、味覚障害が出た、熱が下がらない、咳が止まらないっていう女性やスタッフがどんどん出ているのに、お店は目先の利益と保身しか考えていなくて、特に対策を立てることはありませんでした。3月半ばには、飲食店の個室を借り切って、お客さま30名ほどと花見をしました。グループ全体から女性が約40名やってきていて……まるで危機感がなかったですね」
その後の24日ごろのことである。
「管轄の保健所担当者が店にやってきて、コロナ陽性はいるのか?と聞かれたり、店の休業や店内の消毒の徹底を指導されたりしたそうです」
それはあくまでも指導であって、濃厚接触者への調査、従業員リストの提出は求められることもなかった。もちろん、それらに対する強制力も保健所側にないという。
「保健所が店にやってきた当日も当然のように営業。それまでの数週間、高熱と咳で休んでいた女性が“熱が下がったわ”と普通に出勤してきたのには驚きましたね。ソワソワしながら仕事も手につかないって感じで。閉店後に、“お客さんから感染者が出たので、とりあえず一部の店は臨時休業します”ってLINEが店から回ってきました。感染者と言っても複数いるはずなので、“担当の女性を教えてほしい、私たちも濃厚接触者になるんだから”と訴えてもダメでした。実はこの時すでに、男性スタッフ3名からコロナ陽性反応が出ていたことを私は知っていましたが、店側はそのことを女性たちに説明することはありませんでしたね」
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