朝日新聞 小滝ちひろ委員の“逃亡”(KAZUYA)

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 米国のトランプ大統領はTwitterの140文字で世界を動かしています。しかし、使い方を誤ると一気に信用を失うのがTwitterの恐ろしいところです。

 特に政治家などは注意が必要ですし、会社名や肩書をプロフィールに示している場合は発言に細心の注意を払う必要があるでしょう。やらかすと本人だけでなく、所属している会社にも迷惑がかかることになります。

 3月13日には朝日新聞の小滝ちひろ編集委員がTwitterでやらかしました。世界中で拡大を続けている新型コロナウイルスについて《あっという間に世界中を席巻し、戦争でもないのに超大国の大統領が恐れ慄く。新コロナウイルスは、ある意味で痛快な存在かもしれない》と書いてしまったのです。

 たった2文字、「痛快」は軽率でした。痛快を辞書で引くと「たまらなく愉快なこと」とあります。世界中で死者を出し、経済の停滞も招いている現状を考えると、明らかに不適切でしょう。

 当然ツイートは批判を浴びます。大体炎上というのは、書いている本人と世間とのギャップから生じるのです。自分の感覚だと「これくらいはオッケー」と思っても、世間の感覚からはズレていることが往々にしてあります。これは誰にでも起こりうることですから、十分に注意したいところです。

 しかし気をつけていてもつい書いてしまうのがTwitterの魔力です。誰しも炎上してしまう可能性はありますし、書いてしまったものはもうどうにもなりません。大事なのは炎上後の対応です。

 炎上時の基本対策は「自分に明確な非がある場合、速やかに謝罪して謹慎する」です。自分の発言について謝って、しばらくTwitterへの投稿を控えるということです。

 では小滝氏はどのような対応を取ったのか? なんとTwitterアカウントを削除して逃亡してしまったのです。所属する朝日新聞は不祥事に厳しい新聞です。政権に対しては「説明責任」「任命責任」を求め続けています。入社1年目の若手社員ならまだしも、編集委員ともあろうお方がアカウントごと消してしまうとは……。前代未聞の対応です。

 多くの批判の声を受け、朝日新聞は広報のTwitterアカウントからお詫びのツイートをしています。さらに3月15日朝刊32面でもお詫びの記事を掲載しました。会社としての対応は上々でしょう。もはや大新聞もTwitterの影響力を無視できなくなっています。今回は自社に所属する編集委員だったからこそ有耶無耶にも出来ず、向き合う必要がありました。

 新聞というのは、信用という点でまだネットを上回っているでしょう。つまり一種の権威的な側面があるのです。しかし今回の小滝氏のように、Twitterでやらかしてしまうと「新聞書いているのって実はアホなんだな」との印象が焼き付いてしまいます。築き上げてきた信用・権威を失いかねません。

 手軽だが気軽に書いてはいけないのがTwitterなのです。自分も余計なことを書いて無駄な炎上をしないように気をつけないと……。

KAZUYA
1988年生まれ、北海道出身。12年、YouTubeで「KAZUYA Channel」を開設し、政治や安全保障に関する話題をほぼ毎日投稿。チャンネル登録者70万人、総視聴数は1億4千万回を超える。近著に『日本人が知っておくべき「日本国憲法」の話』(KKベストセラーズ)

週刊新潮 2020年4月2日号掲載

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