【新型コロナ】政府も専門家も公然と「マスク不要論」を流布させるフランスの事情 

国際

  • ブックマーク

Advertisement

 フランスでの新型コロナウイルス感染者は1万2000人以上、死者は450人を記録(3月20日現在)し、カンヌ映画祭、テニス全仏オープン、モナコF1グランプリ、といったイベントが延期、中止になっています。

 マクロン大統領は、3月12日にテレビ演説で不要不急の外出を控えるよう訴えました。しかし、その効果はあまりなかったため、16日、改めて「我々は戦争状態にある」と語り、罰金を含む外出制限令を出しました。

 これで大統領の本気度が伝わったのか、罰金を払うのが嫌だからか(本来は感染拡大防止のためだと思いますが)、外出制限が開始された3月17日の正午以降、街からは人が消え、テレビではパリを「死んだ街」とさえ表現しています。

 私のもとにも日本の友人から「外出禁止なの?大丈夫?」という心配のメールが届いています。ですが、これは「外出禁止」ではなく、あくまで「外出制限」です。

 正確に申し上げれば、3月17日の正午から最低15日間、必要最低限以外は外出をできないことになっています。外出できるのは下記の条件を満たしている場合に限られます。

・通勤(在宅ワークができない場合)
・食料品など生活に必要最低限の買い物(行ける店等は別途リスト有)
・医療目的
・子供の世話、病人の支援
・家の近くで1人で運動をする、犬の散歩など

 さらに、外出の際には特例外出証明書という宣誓書の携帯が義務付けられています。この宣誓書を携帯していないなどの違反に対しては135ユーロの罰金が科されることになり、2日目にしてパリではすでに4000件以上が摘発されています。

 宣誓書は、政府のサイトからダウンロードするか手書きで、名前、生年月日、住所と外出の目的を記入して署名します。

 私もすでに1度外出しましたが、スーパー、パン屋、チーズ屋には人が並び、ジョギングをしている人や買い物袋を抱えて歩く人が見られ、外出制限という割には人が多い印象を受けました。

 コロナウイルスの感染拡大防止のために外出制限をする国は増えていますが、フランスと日本の状況の違いに驚くことが少なくありません。

次ページ:マスクをしないフランス人でさえ違和感を抱く政府の方針

前へ 1 2 3 4 次へ

[1/4ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。