萩生田光一大臣のカジノ疑惑 “マカオ特別待遇”の証拠動画

国内 政治

  • ブックマーク

Advertisement

ビッグマネー

 いずれにせよ、この動画は「偶然」撮影されたものではない。当時、自民党の幹事長代行であり、超党派のいわゆる「カジノ議連」の事務局長だった萩生田大臣に狙いを絞り、周到に準備した上で撮られたものだ。しかも、これを撮影した“誰か”は一人ではなく、チームである可能性が高い。すなわち、その道の「プロ」ということだ。彼らは萩生田大臣の旅程を事前に把握していたのではないか。

 問題の動画に戻ろう。

 着物姿の女性とスーツの男性に見送られて走り出した車を、正面から捉えた映像。それをよく見ると、助手席に座った岡部氏が後ろを振り返り、身振りを交えながら萩生田氏らに何やら話しかけている様子が写っていることが分かる【2】。3月12日号でお伝えした通り、彼らが乗っている黒塗りのワゴン車はギャラクシー社が用意したものだ。

 3月12日号の記事が公になると、萩生田大臣は自らのブログに〈令和2年3月5日発売の週刊新潮の記事について〉と題する文章をアップした。その中の〈有識者のコメント〉にはこうある。

〈IR業界の「超VIP待遇」の送迎であれば、顧客をフェリーなどには乗せず、居住地の最寄りまでプライベートジェットなどで迎えに行きます。その上、送迎車はロールスロイスなどの高級車を使用します〉

〈個人手配の宿泊者をフェリー乗り場からホテルへ送迎するのはマカオでは日常的に行われているサービスなので、特別なことではありません〉

〈送迎車両についても「黒塗りワゴン」と文中にありますが、写真を見る限り国産ワンボックスのホテルが何台も所有している送迎車両ですので「超VIP待遇」とは言えません〉

 この匿名の〈有識者〉のコメントがいかにいい加減なものかは後述するが、そもそも、萩生田大臣がマカオを訪れたのは日本でカジノ実施法が成立した直後、というタイミングである。法案成立により、ギャラクシー社は単なるカジノ事業者ではなく、日本に参入するかもしれない事業者となった。しかもギャラクシー社は18年の純売上高が552億香港ドル(約7772億円)にもなる巨大企業で、参入にも乗り気。そうした事業者には近づかない、近づかせないのが為政者としての「正しい」あり方ではなかろうか。「プライベートの旅行」というなら、他のリゾート地を訪ねれば良かったではないか。萩生田大臣には「李下に冠を正さず」という言葉を贈りたい。

 加えて言えば、IR(カジノを含む統合型リゾート施設)は文字通りの巨大利権である。ゴールドマン・サックス証券によると、東京、大阪、北海道の各都市圏でIRが出来た場合、カジノによる粗収益(賭金総額から顧客への払戻金を差し引いた額)は年間1兆7500億円にもなる可能性があるという。IR事業者は粗収益の15%を国に、15%を地方自治体に納付する義務がある。すなわち、国と自治体に合わせて年間5250億円が入る計算だ。

 ビッグマネーが動くからこそ、参入を目指すカジノ事業者も血まなこになる。萩生田大臣は、そんな事業者から「特別待遇」を受けていたのだから何をかいわんや、である。

前へ 1 2 3 4 次へ

[2/4ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。