樹木希林を広告塔に… 「問題がん専門医」新著の中身

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 樹木希林(享年75)が最期まで頼ったことでその名が広まった、鹿児島のがん放射線治療施設「UMSオンコロジークリニック」。ひと月前に院長の植松稔氏が上梓した著作では、個性派女優が没後もなお宣伝に使われている。

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 著作『世界初 からだに優しい高精度がん治療』では、植松氏が手がける「4次元ピンポイント照射法」なる治療法に関する内容と、患者の匿名手記を紹介。樹木希林の長女である内田也哉子や、同じく植松氏の患者だった筑紫哲也の家族との対談も収録されている。

 もっとも、植松氏の名が高まったのは、樹木が「全身がん」を公表してから6年近くも生きながらえたことが大きい。対談では、樹木から初めて届いた手紙に〈内田啓子65歳〉と本名が記されていたために、植松氏は有名女優と気づかなかったことなどが明かされ、いかに、ともにがんと闘ったかが綴られている。読者の興味を大いに惹くだろう。

 さて、「4次元ピンポイント照射法」とはいかなるものか。有名大学病院の放射線治療専門医が解説する。

「がんの病巣に立体的に様々な方向から放射線を当てる、3次元照射と呼ぶ手法があります。そこに、呼吸などによる腫瘍の動きを計算して“時間軸”の要素を加えたものを植松氏は『4次元』と称し、より正確に腫瘍を除去できる療法としているのです」

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