神戸「教師いじめ」、男性教師2人は懲戒解雇でも45歳「女帝」は停職3か月の不可解

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被害教員の今は

 この小学校、一年毎に校長が代わっている。前々校長が校長同士の話し合いで教員の人事異動ができるという独自の「神戸方式」でH教諭を垂水区の神陵台小学校から招聘した。次の芝本力前校長はH教諭と男女関係が噂されるほどに大事にした。「いじめはないな」と被害教諭を威圧し、訴えられないようにしてH教諭を守った。高圧的態度で「プチヒトラー」と言われ、被害教諭について「あいつは公開処刑や」と言ったり、「俺のメンツをつぶす気か」と懇親会の出席を強要した。芝本校長はH教諭と同じく停職3か月だけだ。

 蔀、柴田の二人は懲戒免職をまぬかれるものではないが、市教委は世間の目を「アホ男」二人の愚行に向けさせる陰で「女帝」Hを守っているとしか思えない。彼女の親族の教育関係者たちへの「忖度」だろう。兵庫県警は「暴行罪」などで書類送検する方向で加害教員らを捜査している。地元記者によれば、ある捜査関係者はH教諭について、「調査委員会の調査とは、全然違う結果になると思いますよ」と話している。

 さて、被害教員の健康状態、精神状態はかなり回復しているという。調査委の発表時に出したコメントでは、加害者へは「単なるいじりと思うかもしれませんが、やられている側は笑顔でいても辛い思いをしていることをわかってほしい」とし、生徒ヘは「君たちのおかげでもう一度立ち上がろうと思うことができました」と受け持っていた生徒から手紙で励まされたことを喜んだ。

 代理人の奥見司弁護士は「本人は早く復職したいと言っていますが、東須磨小学校へ復職するのは難しいのではないか」と話す。加害教員らは消えていても仁王校長を含め「見て見ぬふり」の教員仲間たちが残る職場に戻らなくてはならない。5年生を受け持っているから、4月から6年生になる彼らを再び受け持ってほしいとは思う。「本人は東須磨小学校に戻りたがっているのですか?」と筆者が長田教育長に聞くと「まだそれは聞いてません」。すでに事件発覚から半年経っているのに。

粟野仁雄(あわの・まさお)
ジャーナリスト。1956年、兵庫県生まれ。大阪大学文学部を卒業。2001年まで共同通信記者。著書に「サハリンに残されて」「警察の犯罪」「検察に、殺される」「ルポ 原発難民」など。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年3月6日掲載

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